THE ORAL CIGARETTES、MY FIRST STORY、Age Factory、CVLTEが競演した【DREAMLAND TOUR 2022】公式レポートが到着
THE ORAL CIGARETTES、MY FIRST STORY、Age Factory、CVLTEが競演した【DREAMLAND TOUR 2022】公式レポートが到着
この記事の写真をすべて見る

 THE ORAL CIGARETTES・山中拓也(Vo/Gt)主宰のクリエイティブレーベル“DREAMLAND”がローンチ後初のアクションとして開催した【DREAMLAND TOUR 2022】が、2022年5月31日のZepp Haneda(TOKYO)公演でファイナルを迎えた。

 ツアーには山中が所属するTHE ORAL CIGARETTESに加え、彼の構想に賛同したMY FIRST STORY、Age Factory、CVLTEが出演。大阪、名古屋公演を経て、グルーブを高めた4組の熱演を目撃するため、会場にファンが駆けつけた。

 “DREAMLAND”のロゴを中央に配したスクリーンが目を引くステージに、最初に現れたのはCVLTEだ。山中が“若いミュージシャンをディグっていた時に一番カッコいいと思った”という4人組バンドで、【SUMMER SONIC 2022】やHYDEの対バンツアーにも出演予定と各方面から注目を集める彼ら。「【DREAMLAND TOUR】最終日、よろしくお願いします!」(aviel kaei/Vo)と「lullaby.」の壮大な音像から、今週リリースされたばかりの新曲「garden.」のダンサブルなサウンドまでを挨拶に変えていく。ハードコアやエレクトロ、ヒップホップ、トラップミュージックなど様々なジャンルを新世代ならではの感性で縦断。ハイクオリティの映像とともに展開するその世界の真ん中を貫くものといえば、情感豊かなメロディ、そして自分たちの音楽を強く信じる気持ちとまっすぐなエネルギーか。Takuya(Gt)、Fuji(Ba)、HAL(Dr)が鳴らすサウンドは、打ち込みやオートチューンも取り入れた構築的なものである一方、ロックバンドとしての芯を確かに感じさせるものでもあった。

 Zepp丸ごと異世界に迷い込ませた「bloodbath.」以降さらに深層へ。「eat acid, see god.」ではKAITO(Paledusk)が、「kuromi.」では4s4kiがゲストボーカルとしてサプライズ登場。KAITOのスクリームがavielの歌声と交錯し、4s4kiの持ち込んだハイパーポップがバンドをさらにブーストさせる。そうして疾走感とトランス感に満ちたパーティータイムに突入。ステージを庭として仲間と遊ぶバンドの自由なテンションも気持ちよく感じられた。ラストの「wasted times.」で「みんなの心の声、聞かせてもらっていいですか?」とフロアに投げかけたavielは、観客一人ひとりの表情を確かめてから頷き、「美しい声だ」と伝える。ドラマティックなサウンドが希望に似た余韻を残した。

 続いてはAge Factoryが登場。山中にとっては同郷・奈良の後輩にあたるバンドで、はち切れそうな衝動を解放させるように激しいバンドサウンドを鳴らしていた頃から、淡い青色を掲げ、寂しさや温もりを内包した真にエモーショナルな音楽も鳴らせるようになった現在に至るまで、彼らの変化・進化を見守ってきたことだろう。清水英介(Vo/Gt)、西口直人(Ba/Cho)、増子央人(Dr/Cho)、サポートメンバーの有村浩希(Gt)という4ピース編成で臨んだAge Factoryは、「Everynight」でライブをスタート。増子の力強いビートから「1994」へ、ギターを掻き鳴らす清水による歌い出しから「SKY」へ……と曲数を重ねていった。そんななか、清水は「今日はいろいろな人がいると思うけど、普段のことは持ち込まず、今ここにいる俺たちだけで共有できる時間があればと思います」と伝える。「何も気にしないで好きに踊ってください」という言葉を託したのは「Dance all night my friends」で、音で情景を見せるのは「HIGH WAY BEACH」。ライブプレイに没頭する4人の演奏に、観客もまた内から熱くさせられ、没頭する。純度の高い時間だ。

 一音一音の密度と濃度、全員で鳴らした時の音の厚みに表れるロックバンドとしての説得力。観客を着実に巻き込んでいった先で訪れたクライマックスの「TONBO」では、力強い拳がフロアからいくつも伸びていた。MCでは、このツアーを「いろいろなバンドを好きになったし、自分たちのバンドを好きになったし、いいバンドばっかりで」と振り返りつつ、「拓也くん、このツアーに呼んでくれてありがとうございます。みんなもありがとう。スゲー楽しかったです」と清水。その後語っていた「(ライブハウスで生まれるような)外の世界に影響されない時間が、思い出となり、未来の僕らを支えてくれる」という彼らの信条をまさに体現するライブだったように思う。ラストには「Merry go round」を届けた。

 CVLTE、Age Factoryと“共に時代をひっくり返してくれるであろう次世代バンド”が芽吹きを感じさせるステージを繰り広げた前半に対し、後半では先輩バンドが堂々としたステージを展開。ということで、MY FIRST STORYが登場。Hiro(Vo)は山中とステージで共演する機会も多く、公私ともに深い仲とのことだ。そんな彼らのライブは、Teru(Gt)、Nob(Ba)、Kid'z(Dr)によるセッションからスタート。オーディエンスを一瞬で高ぶらせてしまう姿はさすがの一言で、Zeppを揺らすラウドロックサウンドは熱量の高いものだが、今この場で生まれた感情を乗せられるだけのゆとりもあり、Hiroがメンバーの演奏にノる姿も目立つ。また、ダンスミュージックライクな「I'm a mess」、インダストリアルミュージック的な質感も兼ね備えた「PARADOX」など、近年にリリースされた曲からは特に、ライブバンドとして前線に立ちながら、クリエイティブであり続けるこのバンドの姿(おそらくは“DREAMLAND”と共鳴したポイントであろう)が感じられた。

 ドラムセットを中心に4人が内を向き、高め合うように演奏する姿も印象に残った「モノクロエフェクター」、前のめりにパフォーマンスするがあまり、Hiroの耳からイヤモニが吹っ飛んだ「猿真似ドロップアウト」を経て、「不可逆リプレイス」でフィナーレを迎える黄金の流れ。曲中にはHiroが「コロナ禍の中、4バンド集めて、ツアーまわって、拓也はすごいと思う」「拓也の夢、みんなも応援してやってください」と山中へのリスペクトとエールを言葉にし、「俺も拓也も1個2個で終わらせるつもりはないから、また必ず会おうぜ、DREAMLAND!」と約束を交わす。MY FIRST STORYからTHE ORAL CIGARETTESへ、想いが今繋がれた。

 トリを務めたのはTHE ORAL CIGARETTES。「さあ、やるぞー!」ステージに登場した山中、あきらかにあきら(Ba/Cho)、鈴木重伸(Gt)、中西雅哉(Dr)の表情は明るく、何だかいつもよりリラックスした雰囲気だ。その理由は、「俺らも遊びに来てますので、全然キメる気ないです」(山中)という“DREAMLAND”におけるバンドのスタンスにあり。ライブが始まってからもステージ上では「フゥー!」といった声が飛び交っているし、ハイテンションなバンドの演奏を前にすれば、フロアはぶち上がり不可避なわけで、あちこちで観客が飛び跳ねている。「最高すぎて終わりたくない」という実感で膨れ上がった歓喜の空間を、山中は「ライブというよりパーティー」と称していた。なお、1曲目に演奏されたのは、バンドが掲げる“BKW”(番狂わせ)の精神を象徴するメジャーデビュー曲「起死回生STORY」だった。物事の始まりはいつだってこの曲とともにある。

 4曲目の「ENEMY feat.Kamui」ではフィーチャリングゲストのKamuiがサプライズとして登場した。リリース以降、ツアーやフェスで何度かコラボしているだけに、計5名によるパフォーマンスもブラザーフッド感が増してきた印象。「次はKamuiとして出たいですね」(Kamui)、「アリ、大アリ!」(山中)という今後の展開を匂わせるやりとりに期待も高まった。サプライズといえば、「マナーモード」は意外な選曲だったし(開始数秒でこの曲だと察したファンも多かったのか、フロアからはどよめきが)、「BLACK MEMORY」が『Bullets Into The Pipe』バージョン――つまりHiroをフィーチャリングゲストとして迎えたバージョンで披露されたのも嬉しい展開だった。Hiroと山中が交互にメインボーカルをとったあと、ラスサビでは2人でユニゾンする構成となっているこの曲。お立ち台を挟んで対面しながら、高め合うように声を張る2人の姿が記憶に焼きついた。

 そんななか、MCでは山中が「これは一種の革命でございます」と“DREAMLAND”始動に対する想いを語る一幕も。曰く、“DREAMLAND”というレーベル名は、2006年に閉園した遊園地“奈良ドリームランド”から拝借したものであり、“夢の国”、“自由の場所”という意味合いが込められているのだそう。そのうえで山中は「みんなにもライブを“観に来た”というよりも“遊びに来た”というテンションで来てほしい」という願いや、「(ツアーをまわったことで)フェスの姿が見えた」という手応えを語り、「一発目が見れたってことを誇りに思って、これからも遊びに来てくれたら嬉しいなと思いますので、応援のほど、よろしくお願いします」と伝えた。そして「狂乱 Hey Kids!!」でライブは終了。ここから始まる幸福な革命を想像させる光景が会場中に広がった。

 ステージの上と下ではなく、人と人として、フラットに拳を突き合わせられる関係性を求める山中が、「とにかく楽しい空間になればいい」という願いを込めて生み出した新たな遊び場。彼の理念に共鳴した仲間が集ったこのツアーを起点として、“DREAMLAND”は連鎖を生みながら、発展していくことだろう。次なるアクションを楽しみにしていたい。

TEXT:蜂須賀ちなみ
PHOTO:ハタサトシ/Taka"nekoze photo”/Yuto Fukuda

◎セットリスト
・CVLTE
1.lullaby.
2.heartbreak.
3.hedonist.
4.garden.
5.bloodbath.
6.eat acid, see god.(feat. Paledusk)
7.kuromi.(feat. 4s4ki)
8.wasted times.

・Age Factory
1.Everynight
2.1994
3.SKY
4.Dance all night my friends
5.HIGH WAY BEACH
6.OVER
7.Feel like shit today
8.TONBO
9.Merry go round

・MY FIRST STORY
1.ALONE
2.LET IT DIE
3.I'm a mess
4.PARADOX
5.ACCIDENT
6.モノクロエフェクター
7.猿真似ドロップアウト
8.不可逆リプレイス

・THE ORAL CIGARETTES
1.起死回生STORY
2.Red Criminal
3.カンタンナコト
4.ENEMY feat.Kamui
5.マナーモード
6.BLACK MEMORY feat.Hiro(MY FIRST STORY)
7.狂乱 Hey Kids!!