進捗率40%以上の65社(3/4)AERA2022年9月26日号より
進捗率40%以上の65社(3/4)AERA2022年9月26日号より

 地銀が多く入っているが注意が必要だろう。なぜなら、資源高が地域経済に及ぼす悪影響などを懸念し、他の業種以上に弱気の通期予想を発表しているケースが多いからだ。

 276%超という断トツの進捗率を記録した大王製紙もそうで、期初時点の経常利益予想は大幅な減益だった。重要なポイントだから繰り返しておくが、進捗率の高さだけに惑わされてはいけない。さらに、窪田さんは警鐘を鳴らす。

「8月の米国CPI(消費者物価指数)が予想外に高かったとはいえ、原油価格の上昇がピークアウトした気配もうかがえるだけに、注意が必要でしょう。FRB(邦準備制度理事会)の金融引き締めが景気後退をもたらせば、エネルギー・資源関連の需要も減少することになります」

進捗率40%以上の65社(4/4)AERA2022年9月26日号より
進捗率40%以上の65社(4/4)AERA2022年9月26日号より

 ここまで触れてきたポイントを踏まえて、今後の動向に注意を払う必要がある銘柄は、表中で網かけで表示している。一方で、手堅く狙えそうなのはこの中でどんな銘柄なのか? 窪田さんの回答は次の通りだ。

■堅実なのは鉄道?

「今後も金融引き締めが続くことを念頭に置けば、業績が景気に左右されやすい銘柄は避けておくのが無難でしょう。特に海運は夏場まで派手な上昇を示したものの、米国の景気後退懸念を受けて下落色が鮮明になっています。現在の情勢を踏まえると、鉄道各社のようなディフェンシブ系の銘柄を選んでおくのが堅実かと思われます」

 ディフェンシブ系とは、景気動向にかかわらず安定的な需要が見込まれる業種のことで、鉄道以外では食品や医薬品、通信などだ。電気・ガスも該当するが、エネルギー価格の先行きが不透明で悩ましい。

 狙うべき銘柄が定まったら、中間決算の発表前に仕込んでおくのが肝要だ。

「ウワサで買って事実で売れ」が相場の格言で、未確定情報(ウワサ)の段階でその内容に対する期待は株価に反映され、上方修正発表(事実として確定)した途端に、利益確定売りが続出しやすいからだ。

 そのようにフットワークの軽い対応が苦手な場合は、通期の期末を見据えたスタンスで臨もう。中間決算発表時に通期見通しを上方修正した銘柄の中からは、さらに上振れするものが出てくる。中間決算の内容を吟味して可能性を探るのがいいだろう。(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2022年9月26日号より抜粋

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼