撮影/小黒冴夏
撮影/小黒冴夏

「クラシックなラテンよりは、見たことのないラテンを作りたいなというところから始まり、選曲は難しくて時間がかかりましたが、ユニークなプログラムに仕上がったと思います。冒頭のダンスから、最後の駆け抜けていくステップまですべてが見どころ。今回のショーではやりませんが新しいリフトも練習しています」

 村元が笑顔で説明し、同意を求めるかのように高橋を見ると、高橋は少し謙遜しながら言った。

「速いテンポの曲があり、振りに落とすのにすごく時間がかかりましたけど(笑)。でも、完璧にできればすごくカッコイイものになります」

 そして驚かされたのは、振付師の名だ。マリーナ・ズエワ・コーチや元アイスダンサーだけでなく、昨季の和風プログラムを手掛けた矢内康洋さん、アイスショー「氷艶」で共演したダンサーのSarry、フロアのラテンダンスの元世界王者ら、6人ものスペシャリストの名が連ねられていた。

撮影/小黒冴夏
撮影/小黒冴夏

■ハマったらかっこいい

「クラシックなものにストリートやテクノも入れたいと思い、各界に精通している方々からアイデアをいただき、新しい融合をしようと思いました。1人の振付師に決めずにいろいろな方にヘルプしていただいていくうちに、たくさんの方が関わることになりました。この6人以外にも、ラテンダンスの先生に踊りを習っています」(高橋)

 実際に、8月26日の初演ではリズムダンスを披露。千秋楽まで3度の演技のなかで2人の勢いは増していき、新たな生命が生まれていくような時間となった。披露後は、公式インタビューにこう答えた。

「一つ一つの動きをはっきりと止めないといけないなかで、足踏みやお互いの距離感も全部が大事です」(村元)

「目まぐるしく変わるプログラム。一つ失敗したら終わる、ばちっとハマったらすごくかっこいいと思います」(高橋)

(ライター・野口美恵)

AERA 2022年9月19日号

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