<ライブレポート>菊地成孔&ペペ・トルメント・アスカラール、ジャンルを超えた唯一無二のオルケスタが魅せた夜【かわさきジャズ2022】
<ライブレポート>菊地成孔&ペペ・トルメント・アスカラール、ジャンルを超えた唯一無二のオルケスタが魅せた夜【かわさきジャズ2022】
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 【菊地成孔&ペペ・トルメント・アスカラール コンサート2022】が、2022年11月3日に神奈川・カルッツかわさきにて行われた。

 今年で8回目を迎えた都市型音楽フェス【かわさきジャズ】。本フェスは、<ジャズは橋を架ける>を合言葉に、9月16日から11月23日の約2か月にわたって開催される。

 本公演はその一環で、音楽家/文筆家/大学講師として活躍する菊地成孔(sax, vo, cond)を中心に、大儀見元・はたけやま裕(per)、堀米綾(hrp)、牛山玲名(1st vn)、田島華乃(2nd vn)、舘泉礼一(vla)、関口将史(vc)、林正樹(pf)、鳥越啓介(cb)、早川純(bandoneon)で構成された“オルケスタ・ぺぺ・トルメント・アスカラール”の超混血系オルケスタ・総勢11名がジャンルを超えたクロスオーバーなステージを魅せた。

 全員黒の正装でステージに登場し、最初に演奏した楽曲は「闘争のエチカ」。菊地のフィンガースナップのカウントから始まり、パーカッションや弦、菊地のスキャットなど次々と重なる音が相まり、絶妙なグルーヴを生み出す。立て続けに、静かなピアノ・イントロから始まる「京マチ子の夜」を披露。サックスやバンドネオンの織りなすユニゾンの旋律が美しく印象的で、タンゴ調の夜ムード漂う楽曲で会場は一気にムーディーに。

 続いて、「Michelangelo」のパーカッションをバックに画家・ミケランジェロについて菊地がおもむろに語りだす。途中から、メンバー紹介も交えつつ、次に披露する3曲目「カラヴァッジョ」の官能的な歌詞についてラップで説明し、その流れのまま演奏へ。色気のある心地の良いグルーヴに魅了される。そして、弦楽四重奏の弾きならすイントロと菊地のジャジーなスキャットが印象的な「嵐が丘」、美しいピアノから始まりメロディアスな「小鳥たちのために ?」、タイトなアンサンブルと牛山のカデンツァが炸裂した「キリングタイム」とMCなしで代表曲を織り交ぜながら立て続けに披露。菊地の作り出す世界観にオーディエンスはどっぷり魅了される。最後に各々の鳴らす音の一体感が美しい「ルぺ・べレスの葬儀」を披露し本編終了。

 鳴り続ける拍手の中、メンバーは再登場しアンコールへ。この日はなんといつもより早く本編が終了したことから、30分以上も菊地が最近起こった笑い話やメンバー紹介もかねて軽快にMCをこなし会場を温めた。中でも印象的だったのは「生きづらい世の中ですけど、ステージをみて生きてて良かったと思ってもらえたら本望です」という言葉だ。生きる喜びを音楽を通して感じてもらえることにフォーカスした菊地の心持ちは、一層会場にいたオーディエンスに響いたと思う。そして『機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER』より「色悪」のアレンジver.を初披露。『岸辺露伴は動かない』より「大空位時代」と2曲続け、鳴りやまない拍手の中、華やかに幕を閉じた。

 また、菊地成孔&ぺぺ・トルメント・アスカラールは大阪・京都にて関西公演を開催する予定だ。

Text:Rumi Miyamoto
Photo:Tak. Tokiwa

◎公演情報
【かわさきジャズ2022】菊地成孔&ペペ・トルメント・アスカラール コンサート2022
日時:2020年11月3日(木・祝)
会場:カルッツかわさき

<セットリスト>
1. 闘争のエチカ
2. 京マチ子の夜
3. カラヴァッジョ
4. 嵐が丘
5. 小鳥たちのために ?
6. キリングタイム
7. バンドネオン・ソロ~ルぺ・べレスの葬儀
-En
E1. 色悪
E2. 大空位時代

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