占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
この記事の写真をすべて見る

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *

Q:私は勉強にのめり込めません。現在離職中で職業訓練を受けているのですが、いまいち真剣になれません。未来を考えると一時的に「よし! 頑張ろう!」となりますが持続しません。思い返すと、大学受験の時も長時間集中できずにいました。でも今回は転職のための勉強なのに本気になれない自分に嫌気がさします。(女性/無職/26歳/おとめ座)

A:少し前に読んでいた本があるんですが、この方にはぜひその本を紹介したいと思いました。森岡毅さんの『苦しかったときの話をしようか』という本。森岡さんはUSJをV字回復させた方ですが、元々大学生になった自分の子どものために就活やキャリアについて書いた文章を本にしたものだそうです。

 この本でキーワードとして出てくるのが「セルフアウェアネス」という言葉です。自分のことにどれだけ気づいているかという意味。日本の教育はどうしても、ある年齢に達したら高校に行き、大学に行って就職するみたいになっていて、自分が何が好きか、何をしている時が幸せなのかに気づかないまま就職試験を受けることになりがちです。それが問題だということが、この本に書かれていて。

 詳しくはぜひ本を読んでいただきたいんですが、僕はその通りだなと、ひざを打ちました。大人になっても、自分が何をしてる時が幸せで「何が好きだからこれを選んでいる」という気づきがないままだと、ずっと自分探しを続けてしまうし、向いてないことに対しても努力を続けてしまいます。

 勉強に集中できないとか、何のためにこんなことしなきゃいけないんだろうという迷いも、そこに原因があるような気がしました。

 そしてこれは僕の持論ですが、もし「この困難を乗り越えてから自分の好きなことをやろう」と思っていらっしゃるなら、それは順番が違っているかもしれません。

次のページ