被害弁連の結成や国会での追及は、「朝日ジャーナル」の追及キャンペーンの一つの到達点でもあった。同誌上での旧統一教会をめぐる一連の報道は87年秋に区切りをつける。
一方で、92年には、「週刊文春」が新体操の女王の山崎浩子さんが旧統一教会に入信し、「合同結婚式」に参加するとスクープを報じる。山崎さんは当時、合同結婚式について問われ、胸の内をこう明かしている。
「三年かかって考えたことを一口に説明することはできませんが、信じているからこうしていると言うしかありません。こうしていられるのも神様のおかげだと思っています」「あなたは神様を信じないのですか」(「週刊文春」92年7月2日号)
■2世は純粋な被害者
その直後には歌手の桜田淳子さんも入信していたことが明らかになり、会見も開かれる異例の事態に。ワイドショーやスポーツ紙の合同結婚式報道は熱を帯びた。
依然として「かたい信者」を取り込み続ける旧統一教会。「朝日ジャーナル」は92年をもって休刊となるが、その間取材を続ける選択はなかったのか。藤森さんは述懐する。
「きれいごとに聞こえるかもしれないけれど、僕は信教の自由が気になった。霊感商法は社会の人々を相手にした悪い行為です。それらの行為を罰することは必要だけど、心の内で何を信仰するのかは自由だというのが、その時の我々が出した結論だった」
旧統一教会に限らず、「信教の自由に踏み込むことには今もためらいがある」と藤森さん。だが、安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、一つの反省が浮かんだ。
「被害者がやがて加害者へと転じる原理運動や霊感商法とは違って、2世は純粋な被害者です。そこを考えたことはなかった」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2022年9月5日号より抜粋