そんな吉田拓郎を初めてしっかりと観たのが94年の紅白歌合戦(「外は白い雪の夜」を歌唱)。拓郎の音楽が流れていなかった私の家庭でも、大人たちが息を呑むようにして画面に齧り付いていたのを憶えています。さらに96年からは『LOVE LOVE あいしてる』が始まり、私の「吉田拓郎熱」というのはその人物像に対するものがほとんどでした。

 ユーミンやみゆきさんや達郎さん、もしくはビートルズやクイーンと違い、吉田拓郎の音楽には「70年代前半のフォークブーム原体験を持たない者はおいそれと途中から手を出せない神聖さ」がずっとあります。いわゆる「にわか」へのハードルです。それでも尊敬すべき音楽家には変わりなく。

 とりあえずラストアルバムから時間をかけて遡っていこうと思っています。50代に向けての楽しみがひとつできました。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

※週刊朝日  2022年8月12日号

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