1987年、霊感商法で売られた多宝塔や壺を前に会見する「霊感商法被害救済担当弁護士連絡会」のメンバー
1987年、霊感商法で売られた多宝塔や壺を前に会見する「霊感商法被害救済担当弁護士連絡会」のメンバー

 83年7月、Aから電話があり、「前に印鑑を買ってもらったグリーンヘルスの者だ。先生があなたの先祖を拝んだら、悪い霊がいっぱいついていた」などと言われ、先生に会うよう執拗に勧められた。夫とともに連れていかれたのはホテルの一室。和室に祭壇が飾られ、壺が置かれていた。

 先生役のB子は「あなたが堕ろした子どもや病死した前夫が成仏できずに苦しんでいる」「全財産を投げ出して成仏させないと不幸が続く」などと脅し、財産を問いただしてきた。P子さんは夫の交通傷害保険として1200万円が入り、預金してあると打ち明けた。

 先生は「全部出しなさい。そうすれば霊を成仏させてやる」と迫った。

<いつ入室したのか、一人の男がいて、どなり声をあげて暴れ始めた。「前夫の霊が乗り移った」と。この男がCである。

 Cは室内を走り回り、「みな殺しにするぞ。成仏させてくれるのか、くれないのか」とわめきながらP子さんに何度もまとわりついた。押し倒し、殴りかかる。Aがそのたびに引き離す役回りをした。夫もまとわりつかれたが抵抗できなかった。P子さんは気味悪さと恐ろしさで体がふるえた>

 P子さんと夫は、午前10時半ごろから午後8時ごろまでホテルの一室に監禁され、脅され続けた。

<「長時間にわたって、部屋の中で責められ、疲れきっていた」P子さんは、とうとううなずいてしまった。翌日、Aらに銀行に連れて行かれ、定期預金を解約して一二○○万円を渡した。なぜかそれから二、三日のうちに、Aが頼みもしない「一和高麗人参濃縮液」三ダースを自宅に置いて行った。P子さんは、八月二日、警察へ届け出た>

 84年1月、青森地裁弘前支部でA、B子、Cの3被告にそれぞれ懲役2年6カ月、執行猶予5年の判決が言い渡された。

 警察がA宅を捜索したところ、統一教会の教理解説書『原理講論』や、国際勝共連合の機関誌「世界思想」などが見つかった。B子宅の洋服タンスの中には教団の創始者である文鮮明氏の写真があったとされる。

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