◆借りたDVDは7本で700円◆
マンションにあった布団は1組だけだった。明美容疑者と平田容疑者は寄り添うように3枚の毛布にくるまって寝ていたという。万が一警察に見つかったときも「ひとり暮らしだった」と抗弁するためだったのか、それとも、2人の秘められた暮らしは、尊敬から愛へと発展したのか。
2人と面会した滝本弁護士はこう話す。
「籍にこそ入っていないが、2人は長年、連れ添った完璧(かんぺき)な夫婦関係です」
秘められた暮らしの終焉(しゅうえん)に向け、明美容疑者の準備が本格化したのは、昨年の初冬ごろだったようだ。
明美容疑者は昨年11月22日になって初めて、偽名の健康保険証を使って近くのレンタルDVD店に入会した。店の関係者が語る。
「ウチは旧作が7本で700円とお得なんで、彼女は12月17日の返却日までに4回で計28本のDVDを借りていたそうです」
借りたDVDのタイトルは最後のページの表のとおり。明美容疑者は滝本弁護士にこう語った。
「11月に平田から『出頭したい』と打ち明けられ、以前から見たがった映画のDVDを見納めにしようと2人で話し合い、借りに行きました。DVD店の会員証は出頭前に捨てました」
平田容疑者が出頭する直前、明美容疑者が「途中で逮捕されないように」と、平田容疑者のトレードマークの眉毛をそり、髪を茶髪に染めて変装をさせた。そして、見送った。