FBにとって、若者は将来の成長のために決定的に重要な存在だ。内部文書によると、米国でのFBの25歳以上の利用者は増えている一方、24歳以下の利用者は12年以降下がっている。世界の利用者が10億人を超えた中国発の動画投稿アプリ「ティックトック」などの追い上げも激しい。10代のインスタへの取り込みは死活問題となっており、その若者の反応を単語レベルで詳細に分析して、画面に表示される投稿を「調整」している様子もうかがえる。

 20年3~4月、欧米や日本など9カ国の10万人を対象にした調査では、ファッションや美容に関する投稿を見たときに、利用者が他人と比較することで悪い影響を受けると感じる傾向があったという。「着る」「ファッション」「デザイン」「見た目」などの言葉は悪い影響を与え、「与える」「コミュニティー」「幸せ」などはよい影響を与えたという。さらには「悪影響を与える」有名人として、ジャスティン・ビーバー、ビリー・アイリッシュらを挙げた一方、「よい影響」にはサッカー選手のネイマール、ウィル・スミスらが含まれていた。

 また、FBが18年、表示する投稿の順番を決める「アルゴリズム(計算手順)」を変えたところ、誤情報など有害な投稿が拡散されやすくなっていたことも内部文書から明らかになった。

 FBは、「ニュースフィード」と呼ばれる画面上に表示される投稿の順番を決めるアルゴリズムの大規模な変更を公表した。友人や家族間での「シェア」(共有)やコメントなどのやりとりがより多く見込まれる投稿に高いスコアをつけて、「有意義な社会的交流」を生むため、と説明していた。

 だが、FBの19年4月の内部文書は、同社が欧州で実施した調査に触れ、「欧州中の政党が、FBのアルゴリズムの変更は政治の性質を悪い方に変えたと訴えている」と指摘。「『シェアのされやすさ』を強調したことで、挑発的で質の低い投稿が優先されているという」としていた。

 一方、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、ホーゲン氏の内部告発や一連の報道に徹底抗戦の構えを見せている。21年10月のホーゲン氏の公聴会後、ザッカーバーグ氏は声明で「批判の中心は、我々が(利用者の)安全や幸せより利益を優先しているという考えだ。これはまったく事実ではない」と反論した。(朝日新聞サンフランシスコ支局長・五十嵐大介)

※AERA 2022年1月17日号より抜粋

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