5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
* * *
case.16
自分の片づけと夫の片づけ「抱えこむ」より「切り分ける」
夫+子ども/会社員
片づけの相談に来るほとんどの女性が、「物を捨てるのに抵抗がある」「手放し方がわからない」と言います。親世代のもったいない精神に影響を受けていたり、片づけを教わったことがなかったり、背景はさまざまです。
一人分なら物を管理できていたという人でも、仕事が忙しくなり、家族との共同生活が始まって物の量に反比例して自由な時間がなくなると、一変。段ボールたった一個の床置きを許したら、雪だるま式に物があふれてしまった……というのはよくある話です。
夫と保育園に通う子どもと3人で暮らす女性も、「人生であんなに物があふれた時期はなかった」と片づけ前の日々を振り返ります。
結婚して数年間、大人2人が自分のペースで暮らしていた時期はまだよかった。収拾がつかなくなったのは、子どもが産まれてやることが山のように増えた頃から。
片づけられなかった理由の一つは、月に数回の出張があり、日中は仕事で家にいないという生活スタイル。休日は「抱っこ、抱っこ」とせがむ幼い子の世話にかかりきりになります。「こんなに働いているのに片づけなんてできない」と、出産や育児用品など使わなくなった物をドサッと段ボールに入れて、奥の部屋に置くということが続きました。実家にいた頃、彼女が捨てた物をチェックして拾うほど物を捨てなかった母の影響か、「処分」を考えることはあきらめがちだった、と彼女は言います。
もう一つは、買い物と物の収集が好きな夫と何も相談してこなかったこと。夫は使わなくなった炊飯器に鍋、洋服まで何でもとっておきます。処分するには彼の許可が必要で、話し合う煩わしさから「お互いが機嫌よく暮らすには無関心なくらいがいい」「私はなんて諦め上手なんだろう」と都合よく考えてきました。