2月1日、元東京都知事で作家の石原慎太郎氏が都内で死去した。89歳だった。訃報後、東京の自宅前では、4兄弟がそろって会見。長男で自民党元幹事長の石原伸晃氏は、「(父は)膵臓がんをわずらっており、昨年10月に再発した」と闘病していたことを明かした。政界の「盟友」だった元運輸相の亀井静香氏(85)が在りし日の素顔と、最後に病床で対面したときの様子などを語った。
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「昨年12月中旬、石原から電話があった。『久しぶりに会いたい』という電話だったから(自宅まで)会いに行った。『医師から余命何カ月と言われた』と話していたよ。彼は『生きたい、生きたい』とわめいていたわけではない。来るべき死を予期し、堂々と受け止めていたんだ」
亀井氏は石原氏と最後に対面したときの様子をこう振り返る。すでに余命宣告された状態だったというが、亀井氏の前では元気そうに振る舞っていたという。
「自分の弱った姿を見せるような男ではないから。彼は以前から『死後の世界は虚無だ』と言っていた。そういう覚悟だったんじゃないのかな」
会見で伸晃氏は「去年12月には、短編小説ができあがったことを喜び『これがおれの遺作だな』と話していたが、先週まで執筆活動を続けていた」と語ったが、亀井氏も「一生懸命、ワープロを打って書いていたよ」とその様子を目の当たりにしている。最後の対面は30~40分ほどで、自宅を後にしたという。
「別れ際、『また会おうな』とハグをして、手を握ったんだけど、彼は涙を流していたな」
2016年5月19日、石原氏と亀井氏は、外国特派員協会で記者会見を行い、当時米大統領候補だったドナルド・トランプ氏に対して意見交換を申し入れることを発表した。
その際、石原氏は亀井氏を「私の政治的な盟友。侍が侍としての仲間の誓いをする時に昔は血判をしたもんですけれど、そういう仲の私の人生の友人であります」と紹介した。
2人の関係について改めて問うと、亀井氏は「彼とは『賢兄愚弟』だよ。彼が『賢兄』、私が『愚弟』」と表現した。