國村隼さん
國村隼さん
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 最新作「再会の奈良」では中国人の監督やキャストとタッグを組んだ、国際派俳優の國村隼さん。「強面」と言われる顔の使い方がようやくわかってきたという。

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前編/國村隼は「今が伸び盛り」? 海外映画でも活躍する俳優の魅力 】より続く

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 映画デビューしたのは25歳、井筒和幸監督の映画「ガキ帝国」だったが、メジャーデビューは33歳のときに公開された「ブラック・レイン」だと思っている。俳優としては、いわゆる遅咲き。民放連ドラ初出演も43歳、99年のことだった。「鎌倉殿の13人」の脚本を務める三谷幸喜さんは、「HR」という夜間定時制高校を舞台にしたドラマで、國村さんに、「ニワトリの脳味噌程度の知能しかない大人のイメージで」と指導したという。

◆成長スピードが人より遅い(笑)

「そのときは、『何言ってはるのかな、この人』とチンプンカンプンでしたが、三谷さんには、僕がいつまでも成長しない大人であることを見抜かれていたのかも(笑)。今66歳ですが、周りにいる同世代のほとんどは定年退職していて、いわゆる“余生”を楽しんでいる。でも、僕は、『この先に何が起こるのか、どんなことをするのか、まだわからないな』と思う」

 少しずつ世間に知られていく過程で、よく「強面」と言われたが、自分の顔は毎日見ているので、「ごく普通の顔なのにな」と思っていた。

「最近ようやく、この顔の使い方を心得てきました(笑)。20歳のときにはよく、30歳と間違われたけど、最近は、自分の実年齢より若く見られることが多くて、『そうか。老け顔は、逆に年を取らないんだ』ということもわかった。成長のスピードが人よりだいぶ遅いんです(笑)。還暦も過ぎて、現場で最年長になることもしょっちゅうだし、皆さんに立てていただき気遣いをしてもらうことも多い。でも、最年長らしく振る舞うことが全然できなくて、愕然とします。もっと分別のある本物の大人になりたいと思う」

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