ところが動脈硬化が進行すると、その生理現象が起こりづらくなる。陰茎は心臓や脳などと比べて体表近くに存在しているので、好不調の自覚を得やすい臓器。もしも朝勃ちがないなら、他の部位でも進んでいることが疑われる。1週間のうちに1日も朝勃ちがない場合は要注意といえよう。
こうした動脈硬化を予防する上でもテストステロンを増やすのは効果的だ。肥満を防ぎ、運動で筋肉量を増やす。動物性たんぱく質や牡蠣(かき)など亜鉛を含む食材をとる(サプリもOK)。また、スポーツ観戦などで競争意欲を高めるのも上昇につながる。使わない器官は衰えるので勃起・射精もしたほうがいいという。
Dクリニックでは「男性力ドック」を行っている。男性更年期を疑うべき症状と、それを引き起こす要因を「身体」「精神」「性」の三つのカテゴリーに分け数値化。中年期からの男性のQOL(生活の質)をあげるための取り組みである。男性更年期が確認された場合は、ホルモン補充療法もする。
「注射と塗るクリームがあります。ホルモン値は個人差もあるし、1日のうちで変化もありますが、通常は月に1回程度、筋肉注射をします。そうするとテストステロン減少によるさまざまな症状が軽くなっていく。3回くらい打つと明らかに効果があったという患者さんが多いです」(安田院長)
クリームは皮膚が薄くて吸収が早いという理由で陰嚢に塗る。注射ほど高い効果があるわけではないが、「そこそこの量の男性ホルモンを持続的に補充できるのがメリット」という。
「普段はクリームを使っていて、調子が悪いなと思ったら注射をすることもできます。ホルモン補充療法というと怖がる人が多いのですが、抗加齢治療の一つとして検討してみてもいいと思います」(同)
ただしホルモン補充により前立腺がんのマーカーに影響が表れることがあるので、まずは健康診断が必須だ。また、外からホルモンを補充しすぎると、体内で作る必要がないと脳が判断し、作らなくなることもある。医師と相談の上、量の調整が重要だ。