AERA 2022年2月28日号より
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 政府は今年1月、新型コロナウイルスワクチンの接種対象に5~11歳の子どもを加えることを承認した。早ければ3月にも接種が始まる見通しだ。AERA 2022年2月28日号から。

【図】子どもの副反応の発生頻度はこちら

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 今年1月に新型コロナウイルスに感染した小中高校生や幼稚園児は9万8425人だった。文部科学省によると、第5波の最中の昨年8月の3万7333人を大きく上回り、過去最高だった。このうち、小学生が5万1535人でもっとも多かった。

 一因は、この世代がまだワクチン接種の対象になっていなかった点にあると考えられる。政府は今年1月、12歳以上だったファイザー製ワクチンの接種対象を、5~11歳に広げることを特例承認した。早ければ3月にも接種が始まる見通しだ。自治体によっては2月末に始まるところもありそうだ。

 ただ、この年代の子どもの保護者は、中学生や高校生の子どもの保護者に比べ、子どもに接種を受けさせたいと考えている人がやや少ない傾向にある。国立成育医療研究センターが昨年9月に実施した0歳~高校3年生までの保護者約5750人を対象にした調査では、中学生や高校生の保護者の80%以上が子どもにワクチンを「受けさせたい」と回答したのに対し、小学生や3~5歳の保護者では80%未満で、約20%の人は「受けさせたくない」と回答した。

AERA 2022年2月28日号より
AERA 2022年2月28日号より

■受けさせたくない理由

 受けさせたくない理由として挙げられたのが、▽副反応や安全性が不安▽効果に疑問▽子どもにとっては普通の風邪(重症化しない)なので必要性を感じない▽本人のためではなく周りの(大人の)ために打つものと理解している。大人の都合でワクチンまで打たせたくない、といった点だった。

 新型コロナウイルスのワクチンは強制ではないものの、成人や16歳未満の子どもの保護者に対しては、政府は接種を強く呼びかけるために、接種に必要な措置を講ずるよう努めなければならないとする、予防接種法の規定による「努力義務」を適用している。一方、5~11歳の子どもの保護者に対しては、オミクロン株に対する効果について知見が足りないとして、努力義務は適用していない。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年2月28日号より抜粋