AERA 2022年2月28日号より
AERA 2022年2月28日号より

 新型コロナウイルスのワクチンが、5~11歳の子どもに対しても特例承認された。接種するかどうかを決めるに際して考慮すべき点がある。AERA 2022年2月28日号から。

【子どもを対象にしたワクチン 諸外国の状況は?】

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 子どもにワクチンを受けさせるかどうかを考える際、考慮するべきなのは、接種によるメリットとデメリットのバランスだ。

 デメリットは副反応、メリットは感染や発症、重症化を防ぐ効果になる。

 ファイザーが昨年6月から5~11歳の約2300人を対象に実施した臨床試験(治験)では、2回目の接種後、打った部位に痛みが生じた子どもは71%、倦怠感を感じた子は39%、頭痛がした子は28%、筋肉痛を感じた子は12%、悪寒がした子は10%、発熱した子は7%いた。

 米疾病対策センター(CDC)によると、5~11歳の子どもの場合、副反応のために学校を欠席した子の割合は12~15歳より高かったものの、それ以外の副反応の発生頻度は低かった。

 また、米CDCによると、ごくまれに起こる副反応のうち、比較的、若い世代の男性に起こる頻度が高い心臓の炎症、心筋炎や心膜炎の発生頻度は、2回目接種後、5~11歳の男子は100万回接種あたり4.3件発生すると推計された。これは、ワクチンを打たなかった場合よりも多い。ただし、12~15歳の45.7件や、16~17歳の70.2件に比べると少ない。5~11歳の女児は、100万回接種あたり2.0件で、ワクチンを接種しない場合の発生頻度と差がなかった。

■入院率は低くなる

 一方、効果のうち発症を防ぐ効果は、無症候感染者が3割以上いるとみられるため調べるのが難しく、成人の場合も含めて正確にはわかっていない。

 発症を防ぐ効果については、ファイザーの5~11歳を対象にした臨床試験では90.7%あった。ただし、臨床試験の実施中には、まだオミクロン株は登場していなかった。

 成人の場合、オミクロン株に対する発症予防効果や入院が必要になるほどの重症化を防ぐ効果は、従来のウイルス株に対する効果よりも低い。従来株に対しては、ファイザー製ワクチンを2回接種完了直後から25週間以上経過後に至るまで、入院を防ぐ効果は90%以上あった。オミクロン株の場合、接種完了直後でも効果は70%強で、時間とともに低下し、接種後25週間以上経つと30%強になる。

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