オタフクのソースは、たっぷりの野菜や果実に約20種類の香辛料をブレンドしているのが特徴だ。デーツを加えてコクのある甘さとなり、まろやかさが際立っている。
広島県観光連盟のサイトによると、広島市の中心部には24店舗が入る「お好み村」がある。お好み焼きの殿堂ともいうべき存在だ。後発だったオタフクのソースは「お好み村に入れていなかった。そこで、メインよりも、周辺から攻めていった」(前出の細井さん)。
オタフクのソースが、ライバル社の商品からの切り替えに成功したのは、顧客の声を聞き、好みの商品に仕上げる「開発営業」にあると、細井さんはみている。
「お客さんの声を聞いて商品を出すのが上手な会社。お客さんの手間をはぶき、お客さんの狙った味を出している」(同)
オタフクのお好み焼き用ソースは、国内だけでなく、「海外でも販売が伸びている」(大内さん)。米国のロサンゼルスや中国の青島、マレーシアにも工場があり、家庭用は世界50の国・地域で販売している。
海外では、お好み焼きを焼くことが難しいところもあり、たとえば米国では冷凍のお好み焼きも販売し、ソースの販売拡大を図っているという。
大内さんは「ソースを売るより、お好み焼きを広めて売る」と話す。お好み焼き教室や、広島県内の小学校でお好み焼きをつくる体験をする小学校食育授業なども展開する。オタフクは、お好み焼きの食文化の伝道師のような存在として、ソースを売り続けている。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2022年3月4日号
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