「前を向いて進みたいです」

 震災について聞くと、こう答えた。

 震災のことは忘れてはいけないと思っている。しかし、これから先、何十年と生きていくのであれば、過去にとらわれていては前に進めず、町も本当の意味で復興はできないと話す。

「私たち若者がネガティブであればあるほど、大人たちもネガティブになってしまいます。逆に、私たちが前を向いて働いていることで、おじいちゃんやおばあちゃんたちも『頑張って~』って、応援してくれます」

 目標は、石巻からアメリカへ──。石巻の魚介をアメリカで認知してもらうこと。そのためにも、クオリティーで勝負していきたいと話す。

「そして資源を保護し持続可能な漁業にしていけば、それが地域への貢献になり、町の復興にもつながると思います」

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年3月14日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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