それでも今、この人生が一番だと思えています。反省はいっぱいするけど、後悔だけはしたくないっていう思いでやっていれば自(おの)ずと道は開いていく。報われることってむしろ少ないけど、そこで腐るかそれを無駄にしないかの違いだと思っています。

剛:ひとつは仕事をする中で心ない言葉や態度にその都度傷つき、心を壊してしまったことですかね。僕はメンタルが強くないので自然なことではありました。当時はそういう人に対するケアは発展していなかったので、孤独に終わっていく毎日が本当につらかったです。

 突発性難聴になったのも大きな出来事ですね。お医者さんには「できれば今すぐ入院し治療することを勧めます」と言われたけど、自分の権限だけでは仕事の都合がつけられず。イコール、後遺症が残ることに腹をくくり過ごす数日間があって、自分の耳はどうなってしまうのだろうか、音楽を続けられるのだろうかという不安な感情と過ごしました。

 素直に言えば悔やまれます。重度と診断されていたし、そのときに迷惑をかける時間をいただき、すぐさま治療ができていたら完治したかもしれない。お医者さんのアドバイスを実行できなかったことには心残りがありすぎます。今のような後遺症もなかったかもしれません。以前のようには耳が使えなくなり、ギターを弾くのも歌うのも、全てゼロから始めることになった。今、楽器を弾きながら歌うとか、踊りながら歌うなどは少しずつできるようになりましたが、この闘いは一生続くものと実感しています。

 人は人生で間違うことがある。だから大きな心で今を優しく強く生きています。自分が素直な心を話すことで、社会で闘う人たちや後輩くんたちや、同じ状況の人たちの力になれたらいいなと。自分のための選択ができる社会が実現していくことを願っています。

 これからも、人の立場になって物事を考え、人の痛みに気づき寄り添えるように、日常や仕事を自分らしく楽しみ成長していきたいと思っています。自分で作ったり、携わらせていただく楽曲は、誰かの救いや幸せへと繋(つな)がればという純粋な想いが100%入っています。

(構成/直木詩帆、大谷百合絵[本誌])

(週刊朝日2022年3月18日号より)
(週刊朝日2022年3月18日号より)

>>【後編/堂本剛「KinKi Kidsとはもう一人の存在があって成立している大切な世界」】へ続く

週刊朝日  2022年3月18日号より抜粋

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