店はパリの歴史あるアーケード商店街「パサージュ」をイメージし作られた(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
店はパリの歴史あるアーケード商店街「パサージュ」をイメージし作られた(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

「書評サイトの共同型書店」が神保町にオープンした。3月開店の共同型書店「パサージュ」はオール・レビューズがプロデュース。当代一の書評家たちの選書から私家本、付箋付きまで、多彩な世界に心躍る。AERA2022年4月11月号より。

【写真】棚主との直接性を感じさせる本

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 3月上旬、開店間もない東京・神保町の新名所を訪ねると、書棚の木の初々しい香りがした。書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS(オール・レビューズ)」が開いた共同(シェア)型書店「PASSAGE(パサージュ)」だ。共同型書店は、個人に棚を貸し共同で運営する。パサージュでは著名な書評家や作家に限らず、本好きならばだれでも1棚あたり月額5500円から出店可能だ。古本だけでなく新刊書も置ける。

 オール・レビューズとパサージュをプロデュースする仏文学者の鹿島茂さんは言う。

「この書店の肝は『直接性』です。本は、いつ、どこで買い、どう読んだのか。その体験も一体となって価値を持ちます。ところが、本を古本屋に売るとき、単なるモノとして扱われてしまう。思い入れのある本ほど『折れ』『書き込み』があるものですが、買いたたかれる。私はそうした体験の痕跡をむしろ付加価値と見なす本屋を作りたかった。所有者が直接売れば、それはかなえられると考えました」

■付箋やメッセージ付き

 作家の中島京子さんは、書評を書くために読んだ川越宗一さんの『熱源』を付箋(ふせん)付きのまま出品。中島さんがこの本をどう読んだのか追体験できる。英文学者の高山宏さんは、1983年に翻訳した『道化と笏杖(しゃくじょう)』に、当時の書評をはさみこんでいる。ほかにも作家のサインや棚主のメッセージ付きの本もある。

 鹿島さんは古書コレクターとして知られ、本が自宅にあふれては引っ越しを繰り返してきた。パサージュにも蔵書の中から多く出品している。ところが、棚作りのためさらに古本を仕入れたいと言う。