21年10月、上皇さまと87歳の誕生日を迎える美智子さま
21年10月、上皇さまと87歳の誕生日を迎える美智子さま
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「陛下を赤坂に連れてお戻りになるのが、ご自分の務め」

【写真】上皇ご夫妻「仙洞御所」の内部を公開

 上皇后美智子さまは、何度もそう口にし続けていたという。コロナ禍が続く中、外出も控えていた美智子さまだが、電話で知人と話すことはあった。

 美智子さまと20年以上の親交がある、絵本編集者の末盛千枝子さんもときおり話をする機会があった。

「はじめのほうのお声は小さいものの、会話が続くとだんだんとお声に張りが出て元気になられます」

 関係者によると、美智子さまのご体調はあまりよくない。

「午後になると熱が出るといった症状も続いておられるとも聞いています」(同)

 そして上皇さまも昨年12月に88歳の米寿を迎えた。体調にお変わりはないとはいえ、昭和天皇の87歳を超え、記録が残る歴代天皇の中で最長寿となった。

 美智子さまは、上皇さまを思い出の「旧赤坂御所」に連れて戻る――その思いで上皇さまを支え続けてきた。

 上皇ご夫妻が入居することで名称は、上皇の住まいを意味する「仙洞御所(せんとうごしょ)」に変わる。おふたりが住む建物自体は、ご夫妻が結婚してから30年あまりの歳月を過ごした思い出の住まいだ。結婚した翌1960年に建てられたこの「東宮御所」で、浩宮さま(天皇陛下)と礼宮さま(秋篠宮さま)、紀宮さま(黒田清子さん)を育てた。

 美智子さまは、平成の最後の誕生日となる2018年に公表した文書で、仙洞御所での生活を心待ちにする心情をこうつづっている。

「先々には、仙洞御所となる今の東宮御所に移ることになりますが、かつて30年ほど住まったあちらの御所には、入り陽の見える窓を持つ一室があり、若い頃,よくその窓から夕焼けを見ていました。3人の子ども達も皆この御所で育ち,戻りましたらどんなに懐かしく当時を思い起こす事と思います」 

おでまし直前にあがる雨

 そして4月26日。

 高輪の仙洞仮御所での生活を経て、29年ぶりに上皇ご夫妻は東京・元赤坂の赤坂御用地での生活に戻った。

 この日は、夕方から天気が崩れた。差した傘がめくれるほどの突風と横殴りの雨で記者の服もびしょびしょにぬれた。沿道で待つ人々も悪天候と葛藤しながら帰還を待っていた。

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「おかえりなさい」沿道からのあたたかな声