秋山さんのフォーラムエンジニアリングでは、エンジニアの職務経歴書をAIが約15万の言葉に分類し、構造を分解しチェックする。エンジニアの技能などを細分化、体系化し、求人・求職にぴったりな紹介につなげているという。
デジタル人材への需要の増加は「コロナの影響が大きかった」というのは、リクルートで人材サービスのインターネット領域のマネジャーをする早崎士郎さん。
コロナ禍で対面を回避し、ネット上での処理が多くなったため、「デジタルを用いた変革をしないと、企業が生き残れなくなった」(早崎さん)。
同じように、「コロナ禍で、働く環境がオンライン上になった」と指摘するのは、転職・人材情報などのサービスを手がけるパーソルキャリアの喜多恭子執行役員。「どこまでをデジタル人材というのかは企業によりさまざま」と喜多さんは話す。
喜多さんが編集長を務める転職サイト「doda」の登録者を調査したデータによると、昨年の平均年収は全体で403万円、デジタル関係になると438万円に上がる。具体的な職種でみると、データサイエンティストが512万円、システム開発・運用が467万円などとなっている。
デジタル人材といっても、仕事の現場で求められるのは、職場や職種ごとに、より具体的になってきているという。
「100%マッチする人材はたくさんはいません。企業内で育成していくことも多い」(喜多さん)
リクルートの早崎さんも、社内人材の再教育が重要になっていると指摘する。転職者を獲得するだけでなく、「社内で抜擢してプロジェクトを進めていくことがテーマになっています」(早崎さん)。
大手企業でデジタル人材が拡充されてきている一方で、中小企業は経営者がデジタル化についていけていない部分もあるという。
「経営層と現場のデジタル人材とのギャップがあり、経営の変革が進んでいないところもある」(喜多さん)。早崎さんも「中小企業の経営者がデジタルについて知っているかどうかが大きい」とみている。