プーチン氏(gettyimages)
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 ウクライナ侵攻から2カ月が過ぎたいま、ロシア進出企業の撤退が急速に進んでいる。背景にあるのは欧米や日本の経済制裁のほか、投資家や消費者がロシア事業継続に対してノーの声を上げていることだ。それに対して、なんとロシア政府は撤退企業の資産を接収し「国有化」する方針を打ち出した。なぜ、プーチン政権はこのような前代未聞の強硬策をとったのか。ロシア経済と進出企業に詳しい一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所所長の服部倫卓さんに話を聞いた。

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――世界を驚かせたのは航空機リース撤退にともなう機体の接収です。英航空データ分析会社シリウムによると、ウクライナ侵攻直前、欧米や日本のリース会社からアエロフロートなどロシア系航空会社に515機が貸し出されていました。3月29日時点で回収できた航空機は79機にとどまります。

 プーチン大統領は3月14日、リース会社から借りていた航空機を、ロシアで機体再登録することを認める法案に署名しました。400機以上もの旅客機を返さないと居直ったのはまさに前例のない事態です。これは経済制裁として打ち出されたリース契約の解除への対抗策であるわけですが、ロシアとしては国際社会からの孤立をさらに深めようとも、そうせざるを得なかった事情があります。

――というのは?

 ロシアはとても広い国なので移動の際に飛行機を使うことが多いです。ロシア系航空会社が運用する約1000機の機体のうち、ほぼ半分がリースなので、これらの機体を返してしまうと、減便や、路線の打ち切りが発生してしまい、国民生活に一気に打撃が及んでしまう。しかし、そのような事態はなんとしても避けたい。国際的な評判や信頼関係を犠牲にしてもロシア国民がいままでどおりの生活を続けられることを優先した、ということだと思います。

――しかし、旅客機が返却されなければ、もうロシアに旅客機を貸そうという会社はなくなってしまうのでは?

 まったくそのとおりで、信用を失って、今後旅客機を借りられなくなるということは覚悟の上でやっていると思います。ただ、飛行機を返したところで、この戦争を止めないかぎり、ロシアは国際社会から孤立し続けるわけです。飛行機が借りられない状況も続きます。であれば、「借りパク」のほうがいいじゃないか、という、ある意味、ロシア流の合理的判断だったのではないでしょうか。

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ロシア経済はどんどん劣化