■弱者の連帯のヒントがここに

 そんな川崎の沖縄出身の野宿者たちの生き方に、水嶋さんは「弱者の連帯」の可能性を見出そうとしている。

「厳しい環境の中で、地面を這いつくばって生きてきた人たちがほとんどです。集会やデモといった社会運動の枠やスタイルにはなじまないけれど、弱者固有ともいえる支え合いやつながりをもつ、この人たちには別の闘い方がある、と思わせられます。活動を始めた93年頃からずっと模索している弱者の連帯のヒントが、沖縄的共同性の中に隠されているように感じています。1人ひとりのウチナーンチュから話をじっくり聞くことで、その答えに近づけるのではないかと考えています」

沖縄「復帰50年」の2022年5月15日に発行される『記憶は語る2021/4-2022/3 年報―特集沖縄―労働―野宿』(川崎野宿者聞き取りチーム)。沖縄出身の路上生活者181人の人生模様がつづられている=編集部・渡辺豪撮影
沖縄「復帰50年」の2022年5月15日に発行される『記憶は語る2021/4-2022/3 年報―特集沖縄―労働―野宿』(川崎野宿者聞き取りチーム)。沖縄出身の路上生活者181人の人生模様がつづられている=編集部・渡辺豪撮影

 冊子の冒頭にはこうつづられている。

「故郷を遠く離れ、ヤマト川崎にたどり着き、生き抜いてきた皆さんの強さ、弱さ、喜怒哀楽は、ヤマトの我々、そして野宿者たちに強烈な印象と大きな影響を与えました。それをなし得た沖縄人野宿者の生の深み、広がりを、少しでもこの特集で明らかにできたなら幸いです」

(編集部・渡辺豪)

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