「現役生がすごく伸びるんです。私がそれまでと同じように勉強しても、その伸びにかないません。相対的に成績がガクッと下がって、心が折れかけました。直前になって、ああどうしよう、と」
不安になった高橋さんは両親に「落ちるかもしれない」と吐露した。「ごめんなさい、浪人させてくれたのに」
両親はこう諭した。
「合否なんて関係ないよ。1年間、ずっと頑張ってきた事実があるんだから。自分が今までやってきたことを、全力で出し切ればいいんだよ」
この言葉が、最後の1カ月をなんとか乗り切る心の支えとなり、見事に志望校に合格。
フィンランドへの留学も含め大学生活を振り返って、高橋さんはこう感じている。
「大学では、これをしていればいいというガイドラインがなく、自分でしっかり考えないと、なあなあの生活で終わります。それを避けるため、自分が何をやりたいかを考えて、大学学部を選ぶようにしたほうがいいです。まだわからないにしても、わからないなりに悩み抜く。それが大学生活を豊かにすると思います」
(取材・文/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年5月20日号