作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんだろうと考えます。2人目のゲストはシンガー・ソングライターの小沢健二さんです。
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大宮:今まで小沢さんとお会いしても、大学の話なんてしたことなかったですよね。
小沢:全然ない、ない。
大宮:数年前に大カラオケ大会で会いましたね。誰の企画だったのかな。
小沢:あれは僕だったんです、実は。僕、パーティーが好きで。
大宮:相当盛り上がって、あれはエンターテインメントでしたね。小沢さんも歌ってくださって。
小沢:当時アメリカに住んでいて、日本のカラオケは特にクールだと思っていました。今もアメリカに家はあるので、帰れるなら帰りたいんですけど、コロナで帰れなくなって。
大宮:以前、東京オペラシティでのコンサートに行きましたよ。
小沢:ありがとうございます! 10年前のですね。曲と曲の間にすごく長い朗読をやって、朗読劇なんだか、コンサートなんだか(笑)。
大宮:すごいよかったです。影絵もあって、朗読も素晴らしくて。
小沢:僕はコンサートでMCするのが苦手なんです。ぱっとおしゃべりしてすごく面白いことを言うみたいなのもできない。だから、歌詞と同じように全部書いて全部読むんです。一昨年はインターネット番組で、1時間半朗読だけの配信をやったら、ものすごくたくさんの方が見てくれて、DVDも売れました。朗読は、それこそ大学の延長なんですよ。
大宮:そうなんですか!!
小沢:文学とか美学とか勉強するじゃないですか。そんな流れで、自然に朗読をするようになっていって。
大宮:うんうん。
小沢:もちろん、音楽でポップソングを作るのは得意だけど、それ以外の部分、劇っぽいこととか、哲学っぽいこととか朗読でやるようなことが元にあって、その昇華としてポップソングが出てくる。