一方で、選挙の勝敗を決するのは政策ではなく、候補者が資金をどれほど集められるかだという現実もある。
米選挙は年々、金権選挙の色を強めてきた。バンス氏は、予備選挙ですでに7千万ドル(約90億円)を使ってオハイオ州内で大量のテレビCMを流した。その資金集めでもトランプ氏が推薦したという「お墨付き」は大きく、推薦を取り付けた途端に有権者からの寄付が増えるという構造だ。
市民がインフレで経済的に苦しむ一方、中間選挙では巨額の資金が浪費される。しかも、その選挙の争点はトランプ氏を否定するのか復活させるのかという、政治的イデオロギーとしては異常に歪められた内容となる。11月の投開票日には、米メディアは「トランプ」という名を連呼せざるを得ないだろう。24年大統領選挙にどんな影響を及ぼすのか、中間選挙とその後もヒリヒリとした状況が続く。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)
※AERA 2022年5月23日号より抜粋