映画では、ピロラプトルは地上を素早く移動するだけでなく、水中を自在に泳ぎ回る。
恐竜くんは、この点については首をかしげる。
「ラプトルが自由に泳ぎ回るのはやりすぎでは。でも泳ぐ鳥はいたわけですから、泳ぐ恐竜がいても不自然ではありません」
恐竜くんもブルサット教授らと同じくジュラシック・パーク世代の古生物研究者。映画を見て感動し、カナダのアルバータ大学で学んだ。
「教授が言っていました。『前はこの授業を受けるのは4人しかいなかったのに、今では40人だよ』と。それくらい映画の影響は大きかったんです」
ジュラシック・シリーズを熱心に見てきたという恐竜くんに、最新作に出てくる他の古生物について解説してもらった。
巨大な翼竜ケツァルコアトルスが、飛行機を襲うシーンがある。翼竜はグライダーのように滑空するのが精いっぱいだったという説があったが……。
「翼竜は飛ぶのが得意ではないと言われてきました。その根拠は、鳥との比較です。鳥は羽ばたくため胸のところにものすごい筋肉がついているのに、翼竜は胸の筋肉が発達していなかったのです。しかし背中と腕にかけての筋肉が強く、それを使ってしっかり羽ばたいて飛んでいたとわかってきました。地上から自力で飛び立つこともできたと考えられています」
ケツァルコアトルスの完全骨格はまだ発見されていない。しかしより小型の翼竜同様、骨は中空になっており、自在に飛んでいたと考えられる。
「アズダルコ科の大きな翼竜の化石が、当時離れ島だったところから出ています。当然、飛んで移動したはず。また、ティラノサウルスがいるところからも発見されています。飛べなかったら、簡単に獲物になっていたでしょうね」
次いで、群れをなして疾走するパラサウロロフスが人間に捕まって保護区に連れ戻されるシーンについては、
「1代2代では駄目かもしれないけど、馬と同じように時間をかければ家畜化できる恐竜もいたかもしれません。ただ哺乳類ほど知能が高いわけではないし、サイズの問題もありますね」