
最後になったが、インフレに強いとされる資産で最もポピュラーな存在が日本株だ。ニッセイ基礎研究所でチーフ株式ストラテジストを務める井出真吾さんはこう指摘する。
「円安は、外需系が占める割合が高い日経平均株価には少しばかりプラスに作用しそう。しかし、日本で大半を占めるのは内需系の中小企業で、輸入物価上昇に伴うコスト高は痛手です」
当然、そういった“まだら模様”の情勢下では、個別銘柄の取捨選択が難しくなる。自信のない人はインデックス(株価指数)への投資が無難という。
「日本株だけに特定せず、オールカントリー(全世界株式)に分散するのが堅実。ただ、私自身はいくつかのセクターに注目しています。一つは自動車。半導体の調達難で昨年は11カ月分しか生産できなかったため、今年は13カ月分の増産を図る意気込みです。またDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoTの推進は世界的な潮流で、関連銘柄も期待を寄せられます」(井出さん)
(金融ジャーナリスト・大西洋平)
※AERA 2022年5月23日号より抜粋