圧倒的なダンスパフォーマンスで魅せ、独自の世界観で聴く者の心を癒やし、鼓舞してきたBTS。AERA2022年6月6日号ではデビュー9周年を迎える6月10日にリリースする新アルバム「Proof(プルーフ)」の収録を解説する。
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6月10日に発売・配信されるBTSの新アルバム「Proof(プルーフ)」は、活動を振り返り、楽曲一つ一つの意味を再確認しようと企画された作品で、既存曲に新曲3曲を加えた3枚組全48曲で構成されている。
1枚目にはこれまで発売してきたアルバムのタイトル曲や代表曲の他、今回のリード曲となる「Yet To Come(イェット トゥ カム)」が収録された“BTS年代記”。衣装やサウンドに韓国的要素を取り入れた「IDOL(アイドル)」、コロナ禍の中“多くの人の希望と癒やしになってほしい”という思いを込めて“あえて”オール英語で歌った「Dynamite(ダイナマイト)」、今年のグラミー賞で披露された「Butter(バター)」などが入った。特記したいのは1曲目を飾る「Born Singer(ボーン シンガー)」だ。この曲はデビュー直後の2013年7月にネット上で公開されるも、これまでCDに収録されず、ライブでも歌われたのは2回のみという“幻の曲”。RM曰く「純度100%本心だけ」で綴ったという歌詞に注目だ。
2枚目は、ソロ曲やユニット曲の中から、7人が直接セレクトしたということもあり、メンバーそれぞれの音楽的嗜好が色濃く表れた一枚。彼らの個性と才能を感じられる。
ARMYを最も熱くさせたのが、3枚目だ。未発表曲のデモ音源の収録の他、「Tony Montana(トニー モンタナ)」はファンミーティングバージョン、「Still With You(スティル ウィズ ユー)」はアカペラバージョンでの収録と、もはや「CD一枚全て新曲と同じ」価値。ARMYへの愛と感謝を綴った「For Youth(フォー ユース)」がラストを飾る。BTSの第一歩を歌った幻の曲から始まりARMYへの感謝で終わる。まさしく、BTSとARMYのためのアルバムだ。(ライター・酒井美絵子)
※AERA 2022年6月6日号より抜粋