AERA 2022年6月6日号より
AERA 2022年6月6日号より

「1929年の大恐慌を米国は『公共事業での投資』で乗り切った、とよく言われます。しかし実際は、第2次世界大戦で戦場になった欧州やアジア太平洋地域に武器を供給することにより、経済が潤ったことが大きかった。そこで『軍需産業が米国経済を支える構造』ができあがってしまったと思います」

 今、世界の軍事企業の売り上げ上位5社はいずれも米企業だ。そんな米国と軍需産業にとって、米軍が撤退したアフガニスタンに代わる市場として今回の戦いは好都合だったはず、と宮田さんは見る。

「軍需産業は戦争がないと生産ラインが止まってしまいます。米国は戦いの長期化を『意図的に望んでいる』という見方も、私はあり得ると思います」

 長期化すれば、凄惨(せいさん)な状況がこれからも続く。宮田さんは今回の侵攻から「せめて学びを得る」ためにも、軍産複合体という存在を多くの人に知ってほしいと言う。

「そこへの理解もなく、ウクライナ情勢に乗じて台湾有事などを実態以上に吹聴し、根拠不明の『防衛費対GDP(国内総生産)比2%』を言う声に乗せられるばかりでは、『本当に日本が戦争に巻き込まれる日』につながってしまう。そんな危機感を持っています」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2022年6月6日号より抜粋

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