AERA 2022年8月1日号より
AERA 2022年8月1日号より

 英国は、国民皆保険制度を敷き、検査を含めた医療費が原則無料だ。従来は、世界の中でも有数の数のPCR検査を実施してきた。しかし今春以降、方針を切り替え、検査を公費で受けられる人を高齢者や持病のある人など、高リスクの人に限定した。検査は、本人が自宅で抗原検査キットで行うのが原則だ。

 今ある新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ薬は高リスクの人が対象で、リスクの低い人は対象外だ。低リスクの人は感染がわかっても特別な治療はなく、多くの人は静養していれば治る。

 英国のような国は世界でもまだ例外的だが、新型コロナウイルス対策の緩和が世界の大きな潮流であることは間違いない。日本でも、どのような形で平時に移行させていくのか検討が必要だ。

 その際には、別の変異株や系統が登場するという想定も欠かせない。インドで今年6月以降、増えているオミクロン株の新たな系統BA.2.75は、英国や米国などに次ぎ、日本でも7月以降、神戸市や都内で見つかっている。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年8月1日号より抜粋