コロナとかこの状況には厳密な意味での終わりはないと思います。波が小さくなることはあっても、「全世界で不幸や悪い知らせがゼロになりました、解放です」みたいな日はないと思う。どうやってその波と付き合っていくかは、各自がルールを決めていかなければいけないのだと思います。それは「肌感」で決めてしまっていいと思う。例えば一昨年ぐらいは僕自身も人が多く集まることに不安があったけど、今は肌感としてここまでならOKかな、というのが出てきました。例えば外だったらマスクを外してみようとか。周りの人の様子を見てもいいし、その肌感に従って自分なりにルールを設定して、隣町までなら行ってみようとか、ゆったり聴けるライブは行ってみようとか、一つずつ試してみたらいいんじゃないでしょうか。
それまで自分が楽しみにしていたものを、ある外からの理由とかによってやめさせられてしまうとなると、必ず恨みポイントがたまっていきます。そしていつかそれに対する復讐が始まる。5年後に理由もなく食べ過ぎてしまうとか。そういう自傷行為につながっていくと思うんです。
「望んでもしょうがない」という感覚を植え付けられ過ぎてしまった僕たちが、これからどう若返りを果たしていくか。これは全員にとっての課題かもしれませんね。
◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2022年6月13日号