ポイント4 複数横線はやや右上がり平行に書く

横線が多い「喜」は右上がりを意識して平行に。
横線が多い「喜」は右上がりを意識して平行に。

 横線が複数ある字は、横線の角度がバラバラだと、バランスが悪く見えます。「書・筆・車・島・美」など、横線が多い字を書くときは、横線をやや右上がりに平行に、特に意識して揃えて書いてみましょう。その際、ポイント3で紹介したように「横線の1本を長く強調する」ことも忘れずに。このポイントに気をつけるだけで、字が劇的に美しくなります。

「二・工・土・王」のように横線が少ない字のときも、同じように「右上がり平行」に気をつけて書くと、字が整いやすくなります。

「話・持・頑・場」などの「へん」と「つくり」からなる字や、「術・識・働」など三部分のパーツからなる字にも、この法則はあてはまります。横線が短くなる分、やや右上がりにすることで真横に書くよりも線が長く見え、より統一感が出せます。

 横線の多い・少ない・長短にかかわらず、すべての横線をやや右上がり平行に揃えてみましょう。実にシンプルな方法で、不思議と字がまとまるようになります。

ポイント5 等間隔を意識する

「書」は、連続する横線を等間隔にすると整った字に。
「書」は、連続する横線を等間隔にすると整った字に。

 縦・横・斜めに同じ筆画が連続するときは、スペースを等間隔にあけて書きます。例えばひらがなの「ま・も・ほ」、カタカナの「ミ・ヨ・モ」、漢字の「言・鳥・川・形・物・然」など、線と線の間や点と点の間を、同じ間隔であけると整然とした印象になります。厳格に幅を測る必要はなく、「同じくらいあける」と意識するだけで充分違いが出ます。

 このとき線の方向を平行に揃えて、横線ならやや右上がりにすれば、さらにグレードアップ! 実は一つの字のなかにポイント1~5の要素がいくつか詰まっているケースがよくあります。 

 例えば「書」の字は、ポイント3の「線が複数あるときは一本を長く書く」、ポイント4の「横線はやや右上がり平行に」、ポイント5の「線と線は等間隔にあける」の3点のポイントが含まれる字。特にこの3点は漢字のプロポーションを整える究極の秘訣です。常に頭の隅に置いて字を書くと、バランスの取れた字に近づきます。

大平恵理 

大東文化大学文学部中国文学科卒。故氷田光風氏らに師事。書写の実用性と書道の審美を併せ持つ平明で美しい書風は、「用美一体を究めた文字」と専門家から高く評価されている。長い間、全国大会の毛筆・硬筆手本や検定試験手本の揮毫を一身に担ってきた。2010年、日本語と伝統文化の継承発展を掲げ、一般社団法人日本書字文化協会を設立。同協会代表理事・会長。『美しい文字で心がやすらぐ 書き込み式ペン字練習帳』『1・2年生の漢字をマスター!小学生の美文字練習帳』『前向きになれるポムポムプリンの美文字練習帳』(朝日新聞出版)、ドラえもんの学習シリーズ『ドラえもんの国語おもしろ攻略 きれいな字が書ける』(小学館)など多数。

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