わさびのてんこ盛りを希望する客も多い

 実は先ほどの大阪の寿司店の謝罪文にあるように、日本を訪れる外国人観光客の中には、「わさび、もっと入れて」と“てんこ盛り”を要求する者も少なくない。その代表が、中国人観光客で、日本人では罰ゲームかというほど、大量のわさびを醤油に溶かしてお刺身に塗りたくって食べる人もいる。

 これはずいぶん前から言われていることで、観光庁が2008年2月に発表した「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」の中にも、観光の現場を調査した結果としてこのようなことが言われている。

「刺身を食べる中国人には、練りワサビをたっぷりと提供する方がよい」
「1回の食事で1本の練りワサビを使い切る人もいる」

 実際、中国人観光客がよく訪れる地域の飲食店の中には“先回り”をして、「どうせわさび、わさびって言われるんだから最初からたっぷり入れておいてやるか」という効率的な対応をしている店もある。「足りない」と文句を言われてから対応をするのが面倒なので、最初からてんこ盛りにしておくのだ。

 だが、国や民族によって味覚の好みはだいぶ違う。中国人観光客は「気が利いているな」と喜んでも、他国からの観光客が喜ぶとは限らない。むしろ、「もしかして嫌がらせでは?」と疑心暗鬼になってしまうのではないか。

 つまり、今回の問題は、寿司店の調理担当者が、「どうせ外国人観光客はこういうのが好きなんでしょ」とマニュアル的に、中国人も韓国人も一緒くたにして、わさびを大盛りにしていたことで、韓国人観光客側が「わさびテロ」だと誤解をした可能性があるのだ。

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良かれと思った先回りの「おもてなし」が誤解された?