今年4月~6月に放送されたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系、脚本・坂元裕二)は、放送後にSNSでトレンド入りし、インターネット上でもさまざまな考察記事が公開されるなどの反響を呼んだ。佐野亜裕美プロデューサーに、自身のテレビドラマ制作の仕事への思いを聞いた。(東大新聞オンラインから転載、一部改変)
【アンケート結果】「テレビを見ていて信用できないと思う人」1位は?
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■私は「やりたくないことはやらない」ことを大事にしていました
──テレビドラマという形で映像作品を作ることを選び、それを続けていることの一番の理由は何ですか
東京でこういう仕事をして生きている私たちにとっては、Netflixに月1000円くらいのお金を払うことや1900円払って映画館に行くことって普通に日常の中にあることですよね。でも例えば私の地元の静岡に戻ったりすると、今無料で見られるものがこれだけいっぱいある中で、ここで生きて暮らしている人たちが有料のものにいくらお金を払うかな、と思うんです。どんどん日本が貧しくなっている中で、どこにいてもテレビさえあれば無料で見られる、というテレビの良さはまだまだあるなと思っています。
それと、映画の2時間で何かを描こうと思うと、キャラクターを立ち上げるだけで結構精一杯だなと感じるんですよね。でも連続ドラマは10時間もあるので、10時間を通してキャラクターがどう変化するのか、どう成長するのかを週に1回見られてとても好きですし、連続で10話といった長さでしか描けないものがあると思います。ドラマは地位の低いものだったけれども、ちょっと見直されてきているのかなと思います。
──例えば若者のテレビ離れなどと言われることもありますが、そんな状況だからこそやりたいことや伝えたい思いはありますか
若い人が例えばテレビドラマよりもYouTubeを見ている、などとはよく言われますが、YouTubeで描かれているものとドラマで描かれているものは全然違うので、いろいろなものを選択肢として提示し続けたいと思っています。会社員である以上リアルタイムの視聴率もどうしても気にしなくてはいけないんですが、ちゃんと時代をつかんでいる良いものを作って、どんな形でも見てもらえれば、それが嬉しいです。