
東京パラリンピックは8月30日、陸上の男子1500メートル予選(T11)があり、和田伸也(44)が出場する。AERA2021年6月7日号のインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。
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コロナ禍でさまざまな制限があった2020年、全盲ランナーの和田伸也は大きく飛躍した。
9月の日本選手権は男子1500メートルで自己ベストを約6秒上回る4分5秒75のアジア新、11月の関東選手権では男子5千メートルで自己記録を21秒更新する15分11秒79のタイムで制し、同年の世界ランキングでどちらも1位に立った。
「限られた環境の中、工夫し、集中してやるのが僕の競技スタイルなんです」
原点は高校時代にあるという。
視野が狭くなり、パスを受けられなくなってラグビーをやめた。進行性の病気で浪人したら目が持たないと思い、大学受験に集中。参考書の文字を拡大コピーしたが、視界に入る文字が少なくなり、読むだけで人の何倍も時間がかかる。そこで、受験科目が少なく、アクセスのいい私大を探し、関西大学に合格した。
「工夫しながらできることを探し、一つ、二つ積み重ねればいつか十になる」
パラリンピックの12年ロンドン大会男子5千メートルで銅メダルを取ったが、16年リオデジャネイロ大会では6位。市民ランナーとして戦う限界を感じ、18年に長瀬産業に入社し競技に専念。19年には走力と冷静な判断力を持ち合わせる伴走者・長谷部匠と出会い、40歳を超えてなお記録を伸ばし続ける。
「練習も含め多くの伴走者に支えてもらっていて、勝てば喜びも倍増する。金メダルを狙える位置にいるので、自慢の持久力でラストスパートをかけて勝ちたい」
(編集部・深澤友紀)
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■陸上競技
基本的なルールは一般の競技と同じ。車いすや義足・義手を使う選手、視覚障害、知的障害などさまざまな障害の選手が参加するため、障害の種類や程度でクラス分けされる。視覚障害のクラスはT11~13に分かれ、数字が小さいほど障害が重い。T11は伴走者と必ず一緒に走り、T12は単独走か伴走者と走るかを選択できる。5千メートル以上の種目では2人の伴走者が認められている。
※AERA2021年6月7日号に掲載