東京都議選が火ぶたを切り、自民党からは安倍晋三前首相、河野太郎ワクチン担当相、丸川珠代五輪担当相ら大物議員たちが国政選挙並みの総力体制で連日、各選挙区の自民党候補の応援に入っている。
各陣営の応援合戦がヒートアップする中、現職閣僚が応援に入った街頭演説が「不審物予告」で急きょ、中止される騒動まで勃発。「密」過ぎる都議選をルポした。
告示2日目の6月26日、目黒区の自民党候補の鈴木隆道氏はTwitterでこうつぶやいた。
「中目黒駅で消防出動があり、急きょ、茂木大臣との街頭演説会を中止させていただきました。代わりに中目黒銀座商店街の皆さまにご挨拶に上がらせていただきました」
鈴木氏の応援に入った茂木敏充外相が行う予定だった中目黒駅前での街頭演説。その直前に消防車がけたたましいサイレンを鳴らしながらやってきたという。鈴木候補の選対事務所関係者は経緯をこう説明する。
「茂木大臣との街頭演説会はこの日、2カ所で予定していました。午後1時30分からの目黒駅前での演説会は予定通りに実施されました。次に午後2時から中目黒駅前で演説会の予定が入っていたのですが、ちょうど演説会場のあたりに消防車が入って来たんです」
いったい、何があったのか。AERAdot.編集部が東京消防庁に問い合わせたところ、こう回答があった。
「駅構内に不審なものがあると、119番通報があったんです。現場に行ったのですが、何もなかった」
鈴木氏の選対事務所ではこう説明する。
「中目黒の駅は騒然としておりましたし、そんなところで演説をするということはさすがにできませんでしたので中止とさせていただきました」
しかし、 茂木外相は不審物騒動にも怯まず、午後2時半からもう一人の目黒区内の自民党候補、栗山芳士氏の応援演説をしていた。
実は目黒区では熾烈な戦いが繰り広げられている。定数3に対し、7人が立候補。現職の都民ファ、公明、共産の3人に、4年前の都議選で議席を失った自民から2人が立候補したことが熾烈な争いに拍車をかけている。