イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)
イラスト/宮野耕治(AERA6月14日号から)

 コロナ禍で一日中着けるようになったマスク。それが理由で頭痛に悩まされている人が増えている。AERA 2021年6月14日号は、専門家に原因や対策を聞いた。

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 頭痛の専門医で、東京都調布市の「にわファミリークリニック」の丹羽潔院長によれば、マスクのせいで頭痛を訴える人が以前の2倍近くになったという。

 その原因は大きく二つある。一つ目はもともと片頭痛持ちの人で、マスクという原因が加わり症状が引き起こされるケース。もう一つはコリの頭痛、緊張型頭痛と言われるものだ。

■片頭痛とコリが原因

 片頭痛は「二酸化炭素過多」の状態が関係している。マスクを着けていると自分が吐いた呼気、つまり二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになる。これにより脳内の血管が拡張し、片頭痛が起きる。丹羽院長は、「酸欠で頭痛になると思っている人がいますが、酸素が少なくても血管はほとんど広がりません。二酸化炭素が増えることで血管が拡張するのです」と説明する。

マスクを着けて通勤する人たち。周囲の目もあり、息苦しさや頭痛を感じても簡単には外せない/5月10日、名古屋市で(c)朝日新聞社
マスクを着けて通勤する人たち。周囲の目もあり、息苦しさや頭痛を感じても簡単には外せない/5月10日、名古屋市で(c)朝日新聞社

 二酸化炭素が多い状態が5分続くだけでも血管は拡張するという。また、吐いた息は温度が高いため、マスクの中がまるでサウナのようになる。それが熱中症のような状態を招き、血管の拡張につながるという。

 丹羽院長によれば、例年5月から7月は片頭痛の悩みを訴える人が多いという。低い気圧、高い気温、高い湿度。これらがいずれも片頭痛の要因になるためだ。これからの季節、特に注意が必要だ。片頭痛が起きてしまったときの対策としては、

「喉仏(のどぼとけ)の横にある頸動脈(けいどうみゃく)のところを冷たいペットボトルや缶コーヒーで冷やすと、血管がぎゅっと収縮するので効果があります。カフェインも血管を収縮させる働きがあるのでおすすめです」(丹羽院長)

 二つ目のパターンが、コリによる頭痛だ。こちらはマスクのゴムを耳にかけていることで、側頭筋(そくとうきん)と言われるこめかみの筋肉、咬筋(こうきん)という噛(か)むための顎の筋肉、首にある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)と呼ばれる筋肉に、それぞれ負荷がかかることから生じる。

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