一般社団法人全日本趣味起業協会代表理事。好きなことを仕事にする楽しさと方法をセミナーやメディアを通して広める。『副業図鑑』(総合法令出版)など著書多数。
2018年、厚生労働省は「働き方改革」の一環としてモデル就業規則から副業・兼業を禁止する規定を削除。当時は副業元年と話題になった。特に最近は、コロナ禍や経済不安も相まって一人ひとりの副業への興味も高まっているという。令和の副業事情に迫る。(清談社 真島加代)
■稼げる副業よりも継続できる副業を選ぶ
コロナ禍で将来への不安が高まる中、収入を増やす手段として“副業”が気になっている人も多いはず。
「エン・ジャパンが行った調査(*)では、回答者の49%が副業を希望しています。私自身、この数年で副業に関する相談を受ける機会もかなり増えました。コロナ禍による経済不安や、大手企業の副業解禁などの時代背景が大きく影響しているようです」
(*)…「『副業』実態調査―『エン転職』ユーザーアンケート」/有効回答数:6325人/期間:2020年7月29日~2020年9月27日/『エン転職』を利用するユーザー
そう語るのは、趣味起業コンサルタントの戸田充広氏だ。副業への注目度が上がっている一方で、中高年層は新たな一歩が踏み出しにくい傾向があるという。
「50代以上のビジネスパーソンは『本業一筋』という働き方をしてきた人が多く、副業にあまりいいイメージを持っていません。副業=投資と捉えている人もいますが、副業は仕事なので働くのが前提です。投資はあくまで投資なので、副業とは別物と考えましょう」
そのほか、長い間本業に全力投球してきたため「副業をする時間がない」と思い込んでいる人も多い。しかし、戸田氏は「年齢や時間を言い訳にせず、まずは副業を始めてほしい」と話す。
「副業で得られるのは、副収入だけではありません。特に本業とは異なるジャンルを選ぶと、スキルアップや新たな人脈の形成にもつながります。副業だからこそ『本当にやりたかったことに挑戦できる』というメリットもあります。たとえその副業が向いてなくても、すぐに切り替えられるのも利点の一つです。たとえば、当初副業でカウンセラーを目指していた男性はその後業種を変えて、現在は週末に革細工を作るレザークラフト作家をしています」
生活に直結する本業とは違い、副業は気軽に路線を変更できるのだ。メリットが多い一方で「副業を選ぶ際に注意してほしいポイントがある」と戸田氏。
「すぐにお金を稼ぎたい、という観点で選ぶのはNGです。どんな副業でも金もうけを目的にすると『意外と稼げないな』と感じて、継続する意欲が削がれてしまいます。初めは収入につながらなくても、数年続けていたら月3万円前後になっていたという副業も少なくありません。緊急でお金が必要な場合以外は、稼ぐ金額よりも継続できる副業を選びましょう」