写真家・本山周平さんの作品展「日本 2010-2020」が1月9日から東京・新宿のギャラリー蒼穹舎で開催される。本山さんに聞いた。
【写真】本山周平さんの作品シリーズ「日本 2010-2020」
日本――写すのにプレッシャーを感じてしまいそうな、なかなか凄みのあるテーマだと思う(風景写真家が生半可な覚悟では「富士山」を撮影テーマにできないのと似ている)。
本山さんは2000年以降、この重そうなタイトルを背負い、全国各地を撮り歩いてきた。
「そうですね、『日本』とつけちゃいましたから、20年くらいは時間をかけないと、と思いまして」
作品に写るのは人と営みの風景。「いろいろな場所にある日常の集まり。それが、一つの日本と言っていいんじゃないか、と」。
人がいない、めちゃくちゃ目立つ、警戒される
一見すると、地方で写した何気ないスナップ写真。しかし、見飽きない。写したのはとっさのことだと思うけれど、点景のような人物の配置、周囲の風景の入り具合などが絶妙で、しかも、けれん味がない。
淡々とした雰囲気ではあるけれど、これは撮影者に相当な熱量がなければ撮れない写真でもある。
実際に地方を訪れると感じるのだが、特に街中を離れると、人の姿を見かけることは少ない。しかし、本沢さんのほぼすべての作品に人の姿が写り込んでいる。このシーンを撮るためにどれほどの距離を歩いたことか。
「確かに、確率はめちゃくちゃ悪い(笑)。時間はかかりますね」。そう、飄々と語る。
「子どもが一人で歩いていることはその前の10年間と比べると、むちゃくちゃ減りました。親がついていますし、学校へも集団登校だったり。そもそも、最近は人が歩いて外に出ることが極端に減ったような気がします。みんな大型ショッピングモールに車で出かけて」
さらに別の難しさもある。本山さんはマミヤ7という中判カメラを手に撮り歩いているのだが、その姿が「めちゃくちゃ目立つ」のだ。
「昔はそんなことはなかったと思うんですけれど、いまはかなり警戒される気がします。厳しい。それでも、やっぱり、人が撮りたいのかな、と思いますね」