(写真:BOOKSTAND)
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 下北沢の本屋「B&B」で12月16日、トークイベント「ノッポさんと本屋でお話できるかな?」が開催された。

 NHK教育番組『なにしてあそぼう』『できるかな』でお馴染みのノッポさんこと高見のっぽさん。さらに、コピーライターの野澤幸司さん、編集者の原カントくんの3人が同イベントに登壇した。会場にはソーシャルディスタンスを保ちつつ10人が参加し、オンラインでもその模様を中継した。

 高見さんといえば、一言もしゃべらずに工作をし続けるキャラクターを約20年間演じ続けて人気を博した人物。しかし、「何もしゃべらない」イメージとは裏腹に、この日はさまざまなトークを展開し、持論を語り、会場を盛り上げた。

「番組が終わったあとも僕はずっと『ノッポさん』なんです。街で30代から50代前半の人が僕を見かけて『懐かしい』『うれしい』と声をかけてくれると、良いことをやってきたんだなと思います」と高見さんは言う。

 その一方で、大人気番組のキャラクターを務め続けることへの葛藤もあったそうだ。

「『ノッポさん』を捨てたいと思ったこともありました。とても良い番組をやっているのに、10年も経たないうちに『私はノッポさんだけか』と思い始めてしまったんです。毎日、もう一人の高見 映(別名義)や高見嘉明(本名)が『お前はノッポさんだけでいいの?』と僕に言うんです」(高見さん)

 さまざまな思いを抱えながらも20年にもわたり番組出演を続けた高見さん。実は、出演していた番組『なにしてあそぼう』『できるかな』には事前打ち合わせがなかったそう。

「(もし事前に打ち合わせがあったら)きっと番組に弾みが出ないだろう。不器用だからこそ、真剣に取り組まなければならなかった。一生懸命だからみんな番組を見てくれると思うんです」と当時を振り返った。

 高見さんが実は作家としても活動していたことはあまり知られていないかもしれない。高見さんは、フジテレビの教育番組『ひらけ!ポンキッキ』の制作に関わっていた。

「最初は作家として下っ端からのスタート。普通は企画を5本出せばいいところ、僕は20本出していた。死に物狂いでしたね」と当時を語る。それに対して野澤さんが「僕も最初、コピーライティングは数で勝負していましたね」とコメントし、それぞれの熱い仕事論で盛り上がった。

 トーク後には、高見さんが参加者からの質問に答えた。「何かを始めるとき、どういうことからすべきか」という問いに「うまくやろうとせず一生懸命やることが大事」と答えるなど、参加者と交流。さらに「これだけしゃべるのは今日だけ」と冗談めかして会場の笑いを誘い、イベントは大盛況のまま幕を閉じた。