半夏生(はんげしょう)が訪れました。半夏生は、農作業では大事な節目とされ、今年は7月1日、もしくは1日から5日が半夏生にあたります。かつては、この日までに田植えを済ませるものでした。何故なら、この頃に降る雨は大雨になることが多いから。この雨は「半夏雨(はんげあめ)」と呼ばれています。
半夏生の名前の由来は、半夏(烏柄杓-からすびしゃく)という、漢方に使用される薬草が生える時期からといわれています。農家の方は、この半夏を小遣い稼ぎに収穫していたようです。現在も漢方薬として幅広く使われており、様々な働きのある「半夏厚朴湯」や胃腸の働きを良くしてくれる「六君子湯」などは代表的です。また、どくだみの仲間のカタシログサ、別名「半化粧(はんげしょう)」とよばれる植物の葉の片側だけが化粧をしたように白くなる時期だからともいわれています。
気温があがり、食欲不振や睡眠不足を訴える人が増える時期です。滋養をつけて、しっかり体の調子を整えていきましょう。本日は七月(文月)の旬の食べ物をみてみましょう。
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野菜は、きゅうりやトマト、ししとう、青唐辛子、ピーマン、パプリカ、ゴーヤ、なす、ズッキーニなど夏野菜が盛りです。かぼちゃや冬瓜、トウモロコシも出回りはじめましたね。しょうが、みょうが、大葉など香味野菜もおいしい季節です。
彩り豊かな夏野菜と香味野菜の組み合わせは、おいしくて見た目も楽しいですね。
モロヘイヤやつるむらさきなど、ねばねばした野菜もおひたしや冷やし汁などにするとのど越しがよいですね。
海のものは、ウナギ、アナゴ、鱧、たちうおなどが出回ります。タコ、イカ類、貝類、アジ、スズキ、かんぱち、キス、かじきまぐろもまだまだおいしい季節。
ホヤやウニの美味しい季節はそろそろ7月で終わりでしょうか?
土用の丑の日や七夕のお祝いでいただくこともありますね。
参照:
旬の食材カレンダー
「桜鯛麦藁蛸に祭鱧」とは?
関西では半夏生にタコを食べる慣わしがあるそうです。タコはタコでも、瀬戸内産、特に明石のタコは有名です。タコは、麦が熟す麦秋の頃から特に柔らかくおいしくなります。ススキが花穂を見せる頃のタコを「尾花蛸」とよび、少し味が落ちてくるといわれるため、食べごろはちょうど今。また、豊富に含まれるタウリンには体を正常に戻す働きがあるといわれています。
農作業の疲れに効果があると古人は体感していたのかもしれません。
夏野菜の保存の仕方
水分が多く、いただく前に冷やすとおいしい夏野菜ですが、保存は水分を吸い取るためペーパー等で包んだり、ラップをまいてジッパー付きの保存袋に。水分と冷害に気を付けながら冷蔵庫で保管するとよいでしょう。特に収穫前の天地の状態に気を付けながら保管すると新鮮な状態で長持ちします。
・ナス
ペーパーやラップに包んでビニール袋や保存袋で。ヘタを上にして野菜室で保管します。
・トウモロコシ
収穫後は味が落ちるため、保存袋やラップに包んですぐに冷凍。もしくは、すぐにゆでてラップに包み冷蔵で保存。3日くらいはおいしいです。
・ゴーヤ、カボチャ、パプリカ
種やワタなど水分の多いところをとり、縦半分に切って、切り口にペーパーを置き、上からラップで包んで野菜室へ。
・ニンニク・ショウガ
ペーパーで包みポリ袋かラップをさらにまいてチルド室へ。
・レタス
芯の部分につまようじを3本刺し、ビニール袋にいれて野菜室へ。外葉からいただきます。
半夏生は物忌みの期間?
かつては、夏至から数えて11日目から5日間を半夏生とし、その期間は、物忌みがされることも多かったようです。物忌みとは、穢れをさけるために、ある日常的な行為をさけ、沐浴などで身を清めます。
例えば、半夏生の期間は、酒肉を禁じ匂いの強い野菜を取らないとしていたこともあったようです。平安時代には陰陽道により物忌みが多く行われ、貴族などは物忌み中は大事な用事があっても外出を控えていました。物忌み中の人は家門を閉ざして、訪客がきても会わず、行事にも出席しません。
なんだか少し感染予防対策のステイホームと似ていますね。
気温や湿気で体調がくずれやすいこの季節。もともとは、農作業で疲れた体を休める意味での知恵だったとも考えられます。少し外出を控えたり、ご自身のペースでご自宅で過ごすということは、古来より引き続き大事な知恵なのかもしれませんね。
今月も健やかにお過ごし下さい。