人脈なんてクソだ。
一般の広告代理店は課題解決のプロだが、ぼくらが立ち上げたGOは事業成長のパートナーになる。立ち位置が、目指す場所がそもそも違う。
作るのはCMだけじゃない。その事業を進めるのに最適な組織を作ったり、事業展開のアイデアを出したり、会社の名前や人事制度を考えたりもする。
なぜそこまでするのか? 彼らは社会の変化を察知して「変わりたい。変わらなければ」という想いを胸に、ぼくらGOの門を叩いてくれるからだ。
ぼくらは全力でそれに応えたい。「いいから行けよ」といういつもの口癖を、500万倍くらい丁寧に、大声で叫び続けたい。
GOのクライアントに対するスタンスと、ぼくが『人脈なんてクソだ。変化の時代の生存戦略』を通して皆さんに伝えたいことの根っこは、だいたい同じだ。変化の本質を把握し、凝り固まった旧来の発想にとらわれず、躊躇なく自分を変える。そのための知識と心構えと、ちょっとした工夫を書いた。
昨日決まったビジネスのルールが、今日はがらっと変わっている。何十年も盤石だった大企業が、ついこのあいだ起業したスタートアップにコテンパンにやられる。そんな激動の(でもクソ面白い)時代に生き残るのは、簡単なことではない。
だけど、もう一度言っておこう。
生き残るのは強い者ではなく、変化し続けた者だ。
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●細分化されたコミュニティ全員が好きになるものがヒットする
「特定のコミュニティに深く刺さるもの」が今の時代、ヒットする。そういう意味で思い浮かぶのが、2019年4月に公開されたアメコミヒーロー映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』だ。本作は世界興収が『アバター』を抜いて歴代1位と、映画興行史に残るメガヒットになった。
『エンドゲーム』を映画館で観て、ものすごく驚いた。その前のシリーズ21本を全部観ていないと、内容がほとんどわからないのだ。あんなに間口の狭い映画はない。にもかかわらず、世界で一番ヒットした映画になった。一体どういうことなのか?
これも、すごく今の時代を表している。この映画は、今までの21本を観てきた人への「壮大なご褒美」だ。特定のコミュニティ――この場合、シリーズ21本を観たファン――の満足度を完璧に満たした。先ほどの言い方に当てはめると「細分化された特定のコミュニティ全員が好きになるもの」だったのだ。
同作は「こんなに間口が狭いのに、まさか」のヒットだったが、ぼくはある芸能事務所の社長の言葉を思い出した。「今は企画について『なるほど』と言われたら終わり。『まさか』と言われたものだけが跳ねる」。納得である。