本書は歴代12人の日本人宇宙飛行士が語る、宇宙空間での体験、その後の人生に影響した出来事などを纏めた。
国際宇宙ステーション(ISS)第54次/55次要員で参加した金井宣茂はこう語る。「宇宙は私にとって、出張として行ってきた場所だった」。この言葉の背景には、映像が4Kやハイビジョンで手軽に見られ、宇宙から見た地球がより身近になったことが大きい。一方、2016年に宇宙滞在した大西卓哉は、宇宙で体験した感情を言語化することができないと言う。理系的な思考の自分にはそれらを表すスキルがない。だからこそ芸術家を宇宙に送ってみたい。カメラマンが感じることや、小説家、たとえば村上春樹が宇宙で書く最初の一文に興味があると語る。
宇宙旅行が身近になり、宇宙発の芸術作品に触れられる日が楽しみだ。(二宮郁)
※週刊朝日 2020年1月24日号