
「進行性脊髄軟化症」──外科手術適応外、有効な治療法はなく、犬が発症するとかなりの確率で死に至る恐ろしい病気だ。しかしそんなこと、こてつ(写真、雄、9歳)が発症するまでは知らなかった。
3年前の12月、朝起きると、こてつの後ろ脚が立たなかった。前日はしっかり歩いていた。突然のことに慌てたが、本人も何が起きたかわからなかったと思う。
かかりつけの病院ではヘルニアと診断された。200キロ離れた設備の整った病院で手術を受けることになり、そこで正確な病名がわかったのだ。そして、「前脚まで麻痺が進んだら余命は1日」と言われた。
入院するこてつを残し、いったん帰宅。進行は思ったより早く、翌朝には病院から麻痺が前脚まで進んだと知らせがあった。
急いで病院に向かい、連れて帰った。その時、こてつは自力で水を飲むこともできず、声も出せなかった。動くこともできず、呼吸するだけの彼に、寄り添うことしかできなかった。
区切られた日を乗り越え、もしかしたらと思えたのは、2カ月を過ぎたころ。体を支えてやると、だんだん自力で水やフードがとれるようになり、弱々しいながら声も出る。前脚も少しずつ動くようになった。
小さいけれど奇跡のような回復に、早すぎるのを承知で車いすをオーダーした。 なかなか動かせなかった車いすも今では必需品。前脚だけで上手に使いこなす。
ドライブが大好きなこてつは車いすと一緒に出かけ、多少の段差も何のその、元気に歩いている。近所やお出かけ先でも人気者だ。
こてつより車いすのほうが先に弱った。そこのお店では2台目を注文したのはこてつだけらしい。
健気に頑張るこてつに奇跡の日々が続くよう祈っている。
(柳川富美さん 愛媛県/59歳/主婦)
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