自著『新聞記者』が同名映画の原案となった東京新聞社会部記者と、元文部科学事務次官、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長が、「同調圧力」をキーワードに日本のジャーナリズムや組織の問題点を指摘した。巻末には、映画の劇中座談会も収録する。

 日々の官房長官会見で厳しい質問を続ける望月氏は、記者クラブや番記者制度の問題点を指摘し、誰のために報道するのか何のための記者かを見失わなければ、圧力に屈することはないと記す。前川氏は官僚組織には「遅れず、休まず、働かず」が蔓延し、教育現場でも同調圧力と忖度によって不当な政治的介入が起きていると語る。ファクラー氏は権力者から直接情報を得るアクセス・ジャーナリズムの危険性を説き、調査報道の充実を訴える。社会の同調圧力について大いに考えさせられる。(金田千里)

週刊朝日  2019年9月6日号