「クローズアップ現代+」として放送された三つの番組の取材記録を書籍化。テレビCMを超える勢いで急成長を続けるネット広告の暗黒面に焦点を当て、膨大な広告費が不正なサイトを助長する資金源になっている現状をあぶり出している。
テレビ画面などを無断で流用し、特定商品の購入を呼びかけるフェイク広告などがはびこる中、ネット広告の配信先は多すぎて、広告会社も配信事業者も管理しきれずにいる。そこに、不正が幅を利かせる隙間がある。
ネットは匿名の世界。現在は閉鎖されている巨大海賊版サイト「漫画村」の運営者本人に取材班があの手この手で迫ろうとするくだりは、サスペンス小説のようで読み応え十分だ。
ネット世界の「闇」の一端を、親切な解説つきで覗いてみては?(平山瑞穂)
※週刊朝日 2019年7月19日号