東京や横浜、福岡で21日に桜の開花が気象庁より発表されました。「花見はいつにしようか、どこにしようか……」と思案中の方も多いことでしょう。桜の開花状況や予想は、桜開花情報2019で確認できますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。そこで今日は、お花見についていろいろまとめてみました。
この記事の写真をすべて見るお花見って、いつからはじまったの?
昔、農民たちは春になると、冬に山に戻っていた「田の神様」が、自分たちの住む所に帰ってくると考えていました。
一説には「さくら」の「さ」は穀物の霊を指す古語で、「くら」は神霊が鎮座する場所を意味するといわれています。桜は、神様の到来=田植えのはじまり知らせるものとして重要な意味を持っていたのです。農民たちは、春になって桜が咲くと、桜の木の周りに集まり、田の神様におもてなしをしていました。これが花見のはじまりとされています。
奈良時代には、貴族の間で「花宴(はなのえん)」が催されていました。これは中国の王朝文化にならって、梅の花を観賞しながら歌を詠むというものでした。
その後、平安時代に入ると、梅ではなく桜を愛でるようになったことが、当時の書物から確認できます。
鎌倉時代以降、花を愛でる風習が少しずつ貴族以外の人々の間に広がり、江戸時代になると庶民の間で大流行しました。みんなが桜の下に集まってお弁当を広げ、飲んだり食べたり歌ったりしながら、春の訪れを楽しむ、現在のスタイルは、江戸時代に完成したといわれています。
江戸時代にお花見が浸透したのは、桜の品種改良がすすみ、歴代将軍が桜の植樹を推奨したことが一因と考えられています。江戸の各地に桜の名所が次々に誕生し、身近な場所で花見を楽しめるようになりました。
桜の種類を知ろう
桜とひと言にいっても、その種類は600以上におよびます。代表的なものをご紹介しましょう。
●ソメイヨシノ
江戸時代に品種改良された園芸用の桜で、オオシマサクラとエドヒガンを交配させてできた品種。一般的な桜は種まきや接ぎ木で殖やしますが、同一品種の花粉による受精を行わないという性質を持っている「ソメイヨシノ」は、挿し木や接ぎ木によってのみしか殖やすことができません。つまり現在、日本国内で栽培されているソメイヨシノは、一本の原木から挿し木・接ぎ木されたクローンというわけです。一斉に開花し、一斉に散るのもクローンゆえの特徴とされています。
●ヤエザクラ群
八重咲といって、花びらがたくさんある桜の総称。花と同時に葉をつけることが多く、開花時期はソメイヨシノよりも1~2週間程度遅くなっています。代表的な品種には「カンザン」「フゲンゾウ」「ヤエベニシダレ」などがあります。
●エドヒガンザクラ群
彼岸の頃に花を咲かせる桜。樹齢が長く、古木・巨木が日本各地で見られます。枝が垂れる「シダレザクラ」もエドヒガンザクラの仲間。枝がやわらかく、自身の重みで枝が垂れるのが特徴です。
── 種類が多い桜ですが、国内で栽培されている桜の80%はソメイヨシノともいわれています。ソメイヨシノ以外の桜を見かけた場合は、花びらの形や色の違いなど、じっくり観察してみるのもおもしろいかもしれません。