議論好きなフランス人、和を尊ぶ日本人。これらの国民性が小学校の教室から作られているとすれば、どう思いますか?
両親の仕事の都合で旧ソ連(ロシア)、イギリス、フランス、アメリカ合衆国、日本と5カ国の小学校を渡り歩いたキリーロバ・ナージャさんは、国や地域によって教室や勉強の仕方があまりにも異なることに衝撃を受けた。この体験を自身が連載するコラムで発信すると教育者の間でたちまち大反響を呼び、絵本『ナージャの5つのがっこう』(大日本図書)が生まれた。ナージャさんがAERA dot.に語った各国の国民性の驚くべき違いとは―――?
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突然ですが、質問です。小学校の教室、覚えていますか?
教室内にずらりと並べられた四角い机には1クラス30~40名ほどの生徒たちが座り、無垢なその視線の先には教師が立つ。みんな一様に大きな黒板を見つめ、先生の話を聞く。学校によって多少の違いはあれど、多くはこんな光景だっただろう。
でも、これって、どの国も同じなのだろうか?
机を縦横きれいに整頓して授業を受けるのが当たり前――そう思っていたが、世界中で日本と同じような「教室」になっているのだろうか。
ナージャさんは、まだソ連だった時代のレニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。小学2年生の時にレニングラードを出たのを皮切りに、1990年代にイギリス、フランス、アメリカ合衆国、日本と計5カ国を移り住んだ。慣れない土地と言葉、価値観に戸惑う毎日。シャイだというナージャさんは、周りのクラスメイトや教室をじっと観察していた。すると、各国の教室の違いに気付いたという。
■私の手柄なのに! 優越感を楽しめなかった私の変化
あらためて、ナージャさんが移り住んだ5カ国を、ざっくりと整理しておこう。
・ソ連(6~7歳の約7カ月間)
・イギリス(8歳の約5カ月間)
・フランス(8~9歳の約半年間)
・東京(9~10歳の約1年間/11~12歳の約1年間)
・アメリカ(10~11歳の約1年間)
実際は、ソ連・レニングラードから京都に引っ越した時期もあったが、小学校ではなく弟とともに保育園に通っていた。また、中学時代はカナダにも移住したが、今回は小学校に絞って見てみよう。